逆子 赤ちゃんと聖母子
この日の仕事の全てはこの絵がもたらしてくれたものでした。かけがえのない体験でした。
教会の来客用に用意された一室です。
月に一度妊産婦さんのクリニックに、解放していただく部屋に、妊娠9ヶ月の逆子のお母さんが通されました。
部屋にはこの絵からなんとも言えない柔らかな慈愛が満ちていて、すでに赤ちゃんは癒されていたのかもしれません。
もう来月の検診で治っていなければ帝王切開。
お母さんがそうおっしゃるので、横になって頂くと、まず骨盤内の呼吸と後頭部の呼吸に明らかなずれがありました。
それが一つのゆっくりした呼吸に落ち着くまで、
お母さんの呼吸を整えることから始めました。
するとすぐに赤ちゃんが動き出しました。
はじめに頭が右上方にあり(これは、お母さんも病院での画像から確認をされていました)、赤ちゃんはその頭を右方向から下げようとするのだけれど、首の辺りに引っ掛かりがあり、なかなか頭を下すことができません。そこで体勢を変えて頂いて左下の横向きに変えると、左側に大きな動きがでて、そのまま四つ這いになってもらうと、ぐるりと前周りをして、骨盤内に頭を下ろしました。
10分ほどの出来事です。
最後に骨盤に触れさせて頂いた時には、安定した深い呼吸がお母さんの身体を満たしていました。
その間、最初に部屋に感じた聖母子の慈愛のやわらかさは途切れることなく、部屋を包み込んでいました。
自然の営みに沿って生きる、それが遠くに追いやられてしまった私たちに必要なもの。
謙虚さと慈愛の力に改めて深い感謝を呼び覚まされるそんな体験になりました。
これを忘れないこと。
常に心に留めておこうと思います。