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粋なおじさんの話
※和装画像お借りしました。
週末、諸事情により、
普段は行かない大きなショッピングモールに
食材の買い出しに行きました。
レジを済ませ、サッカー台へ向かうと
1ブロック先に和装の紳士。
シックな着物を着こなした初老の男性。
和装は詳しくないけれど、
清潔感のある髪、背筋はピンと伸び、全体に渋いトーン。
羽織をとめる紐がブラックオニキスの数珠のようでいかにも粋だ。
高僧か武術の師範といっても過言でない佇まい。
九鬼周造の言う「粋」とはきっとこういう人物のことであろう。
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などと考えながら、思わず娘と
「あのおじさん、和服決まっててかっこいいね」
「サムライみたいだね」「偉い人なんじゃない」
などと会話していました。
そしたらそのおじさん、
おもむろにサッカー台に置いてあるロール状のビニール袋をくるくる回して
何十枚も余分にお持ち帰りされているではないですか。
あの、お肉のパックとかが水漏れしないように入れる小さいビニール袋ね。
「行動は、ぜんぜん粋じゃないね」
「心は貧しいみたいだね」
「あんなに持って帰るなんてさすがに引くわ」
思わず私と娘は口をあんぐり開けてドン引き。
とまあ、そんなことがありました。
・・・でも、何か差し迫った理由があったのかな。
困ってる人を助けるとか(ビニール袋で?)
と思ってしまうのは、その人の出で立ちがあまりに高貴だったから。
などと、見た目で酌量してしまう自分が、嫌だ。
あの芸能人の不倫がどうとかも、
あんなキレイな人だし、色々言い分はあるんだろう、
だって旦那がうさんくさいし。
と私の目がやや奥さん側に同情的なのもまぁ、そういうことだろうか。
かく言う私は、
そういう人の世にはびこるルッキズムを逆手にとって
世間を避けたい、誰にも声をかけられないように
あえてオシャレじゃない、同じ服しか着ない反社会主義者です。
(ただ貧乏だからでしょとか、言っちゃだめよ~)
さすがに職場や冠婚葬祭などTPOを要求される場面では
最低限浮かないようにしますけども。
見た目で勝手に中身以上に評価されることを全力で拒むスタイル。
野暮?小汚い?世捨て人?
マイナス評価はむしろありがたい。
今さら、変にモテても困りますし(笑)
それだけ、
ドラム式洗濯乾燥機の恩恵を受け(服が2着あれば事足りる)
内面や作品を評価してくれる人とだけで暮らしていける幸せ者でもあります。
ひねくれてる?
ちょっとアブナイ奴?
でもある朝の寝起き、無邪気な息子に言われたの。
「おかーさん、おばあさんみたい」
・・・ショック。
やっぱり、愛する子供達には若く見られたいかも、という微妙なお年頃。
肉体を持つ以上、我々はルッキズムからは逃れられない。
でも此処では生き様(書き様)を見て頂ける。そんなnoteがスキです。