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湖北の風景31 かぶと山 無念の撤退
※滋賀県湖北地方の風景を綴っている記事です。
今回はタイトル通り「無念の撤退」という中途半端な内容です。
古代の「多和田城跡」、神秘的な石灰岩の「環状列石」と謎の「風穴」のあることで密かに有名な、米原市多和田のかぶと山(兜黛山・とうたいさん)
先日(風景30)の山津照神社のほど近く。
※夏の山に入ってはいけない。雨上がりは特に・・・
噂には聞いていたけど、自分は大丈夫だとタカをくくっていたのです。
山中のダンス&絶叫そして献血・・・と言うとピンと来る方もいらっしゃるかもしれませんね。
気恥ずかしいのであまり気が進まないのですが、注意喚起と自らへの教訓の為に。
アレを通して、里山の環境と生きる意味について考えた半日でした。
アレとかの写真はないですが、閲覧注意です。
(後日談あり)
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往古は道が狭く、土地が痩せて水利も悪い山間地のため、副業として真綿製造や食用ガエル(!)の養殖などが行われたという試される大地。
「古代の神龍(籠?)石様列石」「土俗風穴」などがある、という独特の表現に期待が高まる。
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地蔵盆用の骨組みか
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信仰が続いていたことを思わせます
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北山頂上からはローザンベリー多和田の駐車場が見えました。
なだらかなアップダウンを繰り返しながら進みます
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この辺りで湿った落ち葉が増えてきます(伏線)
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この後、落ち葉の多い急斜面を登るのですが・・・そこには
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城の櫓か倉庫かなとか想像してしまうのです
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東側を眺望
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ズボンの裾をめくって見た。ギャーーー
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正面の「日枝神社を経て下山」(見えてないけど)
という方向へ無我夢中で下りました。
記録はここで終わっている・・・
・かぶと山(兜黛山・とうたいさん)米原市多和田 標高310M
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今回、北側から登りました。
横山山系の南東の外れ。3つの峰が連なる形が兜のように見えることから命名された山、だそうです。
よく整備された山で、なだらかな斜面を、背の高いツツジの植え込みがトンネルのように続く様はメルヘンチック。
雨上がりでしたが道は広く、開けた森をルンルンと歩いて行きました。
多和田という土地の由来は不明なようです。かつて荘園「箕浦荘」に属し、天正期、石田三成領時の村掟には「多和田村」という村名が使われており、江戸幕府領、諸々の藩領を経て、明治末には息長村大字多和田と呼ばれたこの地域。
江戸中期には信濃地方よりノウハウを学び、真綿(いわゆるシルク)の里として、真綿製造が地場産業として栄えました。
最近では、体験型観光農園「ローザンベリー多和田」が自然とのふれあいを求める観光客に支持され、賑わいを見せる地域です。
自然とのふれあい・・・
「ぎゃ、ミミズ!」
本日のバディ・長男(7)の登山用スティックを伝って手に張り付いたそれは凶悪な意志を持ってうねうねと鎌首をもたげているヤマヒル。3~4cm。褐色に黒い縞模様。これは、噂には聞いていた吸血性のヒル!(初見)
田舎育ちなので田んぼにいる緑色の縞模様のやつ、「ウマビル」はよく見知っていたけどあれは血を吸わないらしい。(ピエールカルダンの緑のレトログラスみたいな毒々しさと思っていた)
いらんことを考えている場合ではなかった、急いでそれを長男の手から引き剥がしました、6月・かぶと山の中峰・頂上前の湿った落ち葉の積もるこの山の斜面はヤマビルの巣窟だったのです。
ひとまず開けた場所まで登って逃げ、ベンチに座り呼吸を落ち着けていると、
「おかーさんの背中にもついてる!」
「マジ?いやぁぁぁぁ!とって、とって!」(転げ回る)
「むりむり、触れん、もーむり!もーむり」(大パニック)
わが子からの突然の宣告に動転しつつ、仕方なく山頂で盛大にストリップをかまし、ぬめっとした軟体動物を上着からむしり取りました。幸い、肌には付いていなかったようです。
落ち着こうと思い、先ほどコンビニで買ってきた弁当を広げランチタイム。とにかくもう大丈夫、と安心したかったのです。
気付けばドンヨリしていた空も晴れ出し、あとでお菓子も食べようね~などと、和やかな雰囲気になってきました。
ふと違和感を感じ、足下のズボンの裾をめくってみると靴下のキワに・・・ギャー!!!私の両足首にいるじゃありませんか。私の血を吸って丸々とふくれた数珠玉のようなアレが。
力づくでひっぺがし、そこからはもう無我夢中で山道を下りました。
降りる道は、行きとは違うショートカットルート。急斜面もあるのですが、もうかまっていられません。「三枚のお札」の話でヤマンバから逃げている気分です。
時には長男を抱きかかえ、「落ち着け、落ち着け」「気をつけないと(落ちて)死ぬから、がんばれ!」と励ましながら。
ガーデナーなので虫くらいで慌てる私ではないのですが、わが子が完全に怯えきっていたので、必死でした。
長男(7)は、山行に付き合ってくれる貴重な存在。親の趣味に無理に付き合わせているだけと言われればそうなのだけど。(近年「アウトドア虐待」なる概念があると知り、ちょっと我が身につまされましたが)
本日は、私の知識と準備不足で、愛する息子をツライ目に遭わせてしまったことを悔いています。彼はパニックになりつつも足を踏み外すことなく、淡々と危機に対処する強さを見せてくれました。しばらくは付いて来てくれないだろうけど。
「ボク、今まで弟(4)にいじわるしてたけど、これからは、優しくしようと思う」
麓に停めた車に戻った後、長男は謎のケツイを口にしていました。彼にとって死を覚悟した状態から生還したことで、生きている実感と、生かされている感謝とアドレナリン爆発の末の、心の叫びなのでしょう。(なぜ弟だけで、姉には言わないかはむつかしい問題です)
脳内BGMはフラワーカンパニーズの『深夜高速』がこだまします。
生きててよかった~生きててよかった~♪
これほどこの歌詞が刺さる日はない。
帰宅して、二人でお風呂に入るため、脱衣所で慌ただしく服を脱いでいると、長男のズボンからも丸々としたアイツが・・・!ギャーーー!!!(長男も献血デビュー)
お風呂場で履いていた靴を洗っていたら、側面に糸みたいな小さい赤ちゃんも数匹いました。もうギャーしなかったけど。
ちなみに噛まれた跡はヒルジンという凝固を阻害する成分のせいで血が止まりにくく、鮮血がダラッダラでビジュアル的にキモいのですが、痛みもかゆみもない。
ただ私の貴い(肥えたw)血がアヤツの餌食になったと思うと、不快感と精神的なショックは中々のもの。
蚊だって吸血するし、かゆいのにそれはへーきなのなぜでしょうね。慣れ?
このように真に散々な結果となってしまいましたが、謎の環状列石や風穴をこの目で見たいものは見たいなぁ・・・
「冬にでもぜひあなたについてきて欲しい。勇ましいあなたでなければ務まらないのです。」そう言っていつもお留守番役で膝が痛いわが夫をこんな時だけ頼ってみる。悪い私(笑)
※参考 ヤマビル研究会 様(写真あり注意)
※後日談とちょっと真面目な話
数日後、校外学習でうちの近所の神社へ行った長男。そこでもなんとヤマビルを見つけてしまったそうです。(今までこの周辺では見たことがなかった)
きゃつの恐ろしさを知っていたのが長男だけのようだったので、先生に報告して駆除してもらったそうです。かぶと山の恐怖がフラッシュバックしたのかその日の帰宅後はテンションが低かったけど、ヒルの危険をクラスメイトに知らせられたことについては、すこし誇らしげでした。
ヤマビルは湿潤な山奥で、シカやイノシシなどをひっそり吸血して暮らしていました。温暖化、管理されない山林が増える、ハンターが減るなどの様々な要因で、これらの野生動物が増え、里山に出現することによりヤマビルも生息域を広げているそうです。
そして里山に遊びに来る観光客(人間)の血を吸って、さらに増えるというスパイラル。つまり、野生動物と観光客の多い山にはヤマビルも増える傾向にある・・・?(我々もまんまとカモになってしまいましたが)
シカが増えているというのは伊吹山(全国どこの山でもそうでしょうが)でも今、問題になっております。
かれらにも事情はあるでしょうが、食害により植生が荒らされる、保水力低下による土砂災害、さらに農作物への被害。そしてヒルの増加など人間にとっては都合の悪い変化が起きています。
地球全体からしたらシカが増えようが、人間が増えようがそれが「自然」なのですけどね。(わりとそういう醒めたこと言っちゃう)
ところで「森林環境税」という税金(国税)が今年度より徴収されますね。
山もないし、登山もしないのに払う意味がわからないと思う方もいらっしゃるかもしれません。
こうやって山の事情を身近に知ると、山に入らなくなった(※1)我々が、国土を守り山林の恵みを享受し、従来の生活を維持するために、森を守る委託金を支払わなければならないのは、必然の流れなのだろうなと思います。
(子どもを一族・地域で見守らなくなった代わりに「子育て支援金」が課せられるのと同じことかな)
(※1)日々、山に分け入って資源(材木・燃料・肥料など)を得て暮らさなくなったこと。つまり、人間が山を利用しなくなった代わりに野生動物が生息域を広げていると思っています。
林業や狩猟に携わっているわけでもないし、私が気まぐれに登山したところで何か変わるわけではないのですが、少しでもこういうコトに関心を持つことがまず一歩なのかな、と思っています。え、四の五の言わず納税することが第一歩、って?
以上、ここまで読んで下さりありがとうございます。
環状列石は見られませんでしたが、ヤマヒルとの遭遇をきっかけに、生きることと、里山の環境について無い知恵を振り絞ってみた、湖北の風景31、かぶと山でした。
経験豊富なみなさまは大丈夫でしょうが、毒虫や野生動物との遭遇にはお気をつけ下さいね。よい対策があったら教えてね!