浅春の歌 アードベッグと世界三大古戦場
※アレな短歌集
ムズムズを感じる季節になりました。
言葉を五七五七七に収めるのは
表現したいことを、最適なコトバを脳みそ総動員して再構築する創意工夫が面白い。
(そんなことすでに先人が言ってるだろうけど)
理系っぽいロジックなのに風流というか。それによって失われるニュアンスもあるし。散文的なのは出来の悪いミステリーめいてくるけれど。
え?古くさい?
「古風」気取りの大人版・中二病こと、アトリエトモコです。
こちら日常でエモいことを約31音にまとめた短歌集です。
下は解説と、あまり関係ない写真。よろしければ、お付き合い下さい。
渾身の歌・10首
きみが挽く 朝の珈琲
いつもより 旨さ沁みけり 雨の朝
きみの名を つい呼びなずむ 期を逸し
あなた そちら と 過ぎる十年
ワーテルロー ゲティスバーグに 関ヶ原
一つ やさしき 祖母のふる里
腹病みて 早退せし日の 駅ホーム
照れくさいほど 澄む青空
「セイロガン 糖衣じゃないの 買ってきた」
アードベッグと 鼻にかける夜
海の幸 お酒と温泉 日本海
あとはアナタか 天国とは
秋口に 着られし様の セーターも
春先は ぴたり着こなす 食べ盛り
それぞれの 幸せ 喜ぶ人でいたい
オカネモチには ちょっと妬くけど
いつの日か みんなどこかへ 消えていく
ロミオメールの 文句儚し
落ちている 少女の人形 詠う人
そを聴きながら 鳥を編む夜
解説的なもの
きみが挽く 朝の珈琲
いつもより 旨さ沁みけり 雨の朝
きみの名を つい呼びなずむ 期を逸し
あなた そちら と 過ぎる十年
いつもの珈琲がいつもより旨く感じたのは昨日の喧嘩のうしろめたさから?
いまさら謝るのは難しくはないが、いまだに名を呼ぶのは照れくさい。なんて(きっと数年後には)穏やかで平和な光景。
ワーテルロー ゲティスバーグに 関ヶ原
一つ やさしき 祖母のふる里
ゲティスバーグ(アメリカ)、ワーテルロー(ベルギー)、関ヶ原
この三都市が、「世界三大古戦場」らしいです。
ばぁちゃん、ゲティスバーグの出身ですのん(えぇ・・・)
あの人めっちゃえこひいきで、私には優しくなかったな。
(私には、なんて卑屈な根性!)
そんな祖母コンプレックスな私。
少しだけ彼女の優しさだった部分と和解できる気がするそんな古戦場。
腹病みて 早退せし日の 駅ホーム
照れくさいほど 澄む青空
「セイロガン 糖衣じゃないの 買ってきた」
アードベッグと 鼻にかける夜
※鼻にかける=うぬぼれる
ある種のウイスキーは正露丸の香りと形容されますが好きな人にはたまらなない類の香りなんですね。
かといってアードベッグを飲んでも腹痛は治らない夜。
海の幸 お酒と温泉 日本海
あとはアナタか 天国とは
天国(極楽)とは個人の想像力を超えることができない。
せいぜい日本海の白波を眺めながらゆっくり旨い酒を飲みたい鄙びた旅館の広縁で。「あとはアナタか」なんて面と向かっては言えないが、ちゃんと入れてるから・・・乾杯(眩しい!)
みなさまにとっての「天国」をおしえてね!
秋口に 着られし様の セーターも
春先は ぴたり着こなす 食べ盛り
秋から春先までは暗くて長いトンネルのよう。
そんな中、すくすくと伸びゆく子たちはすばらしい生きものです。
え?洗濯で縮んだだけかもしれない・・・?いつもお下がり服でごめんヨ。
それぞれの 幸せ 喜ぶ人でいたい
オカネモチには ちょっと妬くけど
心の余裕があれば人の幸せを喜べますね。
たとえ偽善と言われても、みなさまの幸せnote記事を読むと私も嬉しい。
あとは、もう少し経済的余裕があればさらに広い心でいられるのにね。
=「金持ち喧嘩せず」
いつの日か みんなどこかへ 消えていく
ロミオメールの 文句儚し
落ちている 少女の人形 詠う人
そを聴きながら 鳥を編む夜
ロミオメールとは、男性から女性への復縁を迫る内容のメールのことを表すネットスラング。
(いつの日かみんな消えてしまうから今)逢おう。
アサイケンイチ的ポエムが妙にココロの琴線に触れてしまう夜は、
ただ金属の棒(かぎ針)を持って、自分の命を揺らしてるだけ。
(feat. BLANKEY JET CITY/「水色」「ガソリンの揺れかた」)
以上、読んで下さり、ありがとうございます(照)
色んなことに夢中になれてポエティックだった青春時代は眩しいけれど、
シンドイので戻りたくはない、そんなアサイ春に絞り出した歌でした。
みなさまの天国は何ですか(しつこい)
隣には、誰がいますか。
私は、飼ってる(た)鳥たちかな!
次回へ続く・・・