平安京アドレナリン!?
小学生の頃、平安神宮に基地(?)があったボーイスカウトに入っていた。
モノゴコロついた折から、“みんなで~”意識の稀薄さゆえゆえ、自ら率先した入団ではモチロン…ない。
気付けば団員だったボーイスカウト、順応ヨロシク――皆とは一線画しながらも、それなりに楽しんでいた。
神宮の節分行事では授業を途中下車し、鬼やらいの儀式――《大儺之儀》に駆り出され。
朱の大極殿を舞台に、平安装束とウィッグのコスプレで観光客の前を練り歩いた――。
神宮との所縁、深からずも浅からず…。
さて大極殿正面、神宮の玄関と言えるのがこれまた朱の〈応天門〉。
平安京大内裏正庁〈朝堂院〉に面していた門を、チョコっとちっこく復元したヤツ。扁額にゃイカつい漢字で[應天門]とある――。
ブックオフの書棚に《応天の門》とゆータイトルを見た時ゃ、そんな馴染みの‘應天門’が思い浮かんだワケさね。
若き菅原道真と検非違使、在原業平が描かれた表紙絵の劇画系タッチと、《新潮社》なる正統派出版社のビッグネームから――
“大マヂメな王朝絵巻か、重たい宮廷群像劇か?いや、ダラダラ続く平安京ソープオペラか?”
――と、スルーしていたマンガ。
しかして、いつしかココロは移ろうモノ。
サラリと澱みなく引かれた風味の描線なのに、やけに活あり圧もあり――妖しく、艶かしくも躍動する線!!
いやはやそんな不思議な線で描かれた、“若き道真の虚ろな三白眼”――の目ヂカラだけは忘れ難く。
とある日、あるだけ買い5巻まで。
読めば、平安京クライム・サスペンス!
〈カラダはオトナ、ココロはコドモ〉の業平と、〈カラダはコドモ、ココロはオトナ〉の道真の――“逆・師弟”感が醸す掛け合いが絶妙で!
いや、そのジツ――酸いも甘いも噛み分けた業平が、これから噛み分けていかねばならぬ道真を――庇護的目線で見守る‘真・師弟’感もまた巧妙!
わが脳内に噴出する平安京アドレナリンの蛇口は、ここ暫く開きっ放しである。