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風鈴火山
昨今、手水鉢に揺蕩う清水の水面を…
生花で彩る風流が流行っているようだ。
青龍のクチからほとばしる…
浄めの流水をヒシャクに取って。
左手右手…そして口の中。
俗ッ気を濯ぎ落とす神の水場で…
ついでに〈穢れ目〉も癒される。
さらに夏場ともなりゃ…
風鈴の涼音が響く手水舎も。
りん…リン…RiNg…鈴…リリリ~ン…。
アハハ、もひとつオマケに癒されること──〈穢れ耳〉まで。
昔ながらの“ニッポンの音”たるや…
さりげなく肌に感応して心地よい。
比べて、主張ツヨ過ぎの電子音。その〈節操&憚り〉のなさは、“明るけりゃ正義”とばかり対向車への幻惑などお構いナシの白色ヘッドライト光に通ずるものを感じる。
りん…リン…RiNg…鈴…リリリ~ン…。
さて、古きよき日本家屋では母屋ぐるりに玉砂利を敷き詰め、侵入者のアラート装置としていた。
ザクッ…ザクッ…ザクッ…。
踏めば、玉砂利同士が擦れ合い…
さりげなく鼓膜震わす玉砂利アラート、奥ゆかしくも油断なき──先人の智恵。
おととしの夏だったか、わが家玄関の軒下に…“風鈴、ぶら下げよっかなー?”──と、思案したことがあった。
陽も傾き、玄関先で打ち水をしている時の思い付きだった。
生家ぢゃ、決まって毎夏…青銅の風鈴が涼しげな音を奏でていた記憶が甦ったのだ。
“…ニッポンの夏、フーリンの夏!”──さっそく明日にでも買いに行くべ…とワクワクし始めたわが右脳に、左脳から“待った!”がッ!?
[もしョ、完全無風の熱帯夜にさァ…夜中に〝りん…〞とか鳴ったら、コワくね?]
──あ、たしかに…。
〈コワいモノ好きの超ビビらー〉が…3階寝室、ベッドの中で──玄関から幽かに〝りん〞と聞こえようものなら!
“…風無いのに、何で鳴る…んョ??”
もう眠れんし、見にも行けへん…
朝までトイレにも下りれんゎ!?
風鈴が涼しげなのは夕方まで…
夜の帳が下りてからは、背筋におぞぞを運んでくれような?
だって、作用なければ反作用ナシ…“何か”が鳴らしているワケっしょ?
…んなワケで余談ながら──セキュリティ・ブームの波にも乗らず、未だセンサー・ライト未設置なのも同じ理由から。
真夜中にパッとか点いたら…
“何か”が作用してんだものねぇ?
音と光にも〈節操&憚り〉を…ぜひ!
りん…リン…RiNg…鈴…リリリ~ン…。
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