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柳をめぐるタイムトラベル#3ー「編む」愉しみ。記憶と指先を通してー
2024年2月8日、中野市人権センターの事業推進にて開催された『籐のフルーツかごづくり講座』に参加しました。
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講師は畔上正雄先生(NPO法人よませ自然学校)をはじめとする4名。
普段は、志賀高原に研修・修学旅行などで訪れた学生さんなどに、かご編みや木工クラフトなどのワークショップ、自然体験のガイドなどをしているそうです。
回数を重ねた人権センターでの講座は、参加者さんもリピーターの方が多く、和やかな雰囲気に包まれ、早くかごを編みたい気持ちで溢れていました。
小さな果実にぴったりのかごを編む
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時間の都合上、底辺の編み始めの部分は仕上がっており、参加者の作業は底辺部分を編むところより開始。
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室内が乾燥していたため、途中で水分を含ませながら直径約14cmの底辺を編んだあと、高さ約4cmくらいに立ち上げながら編みすすめました。
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籐のつなぎ目、立ち上げる時のポイントなどを教えてもらい、仕上げの最後の始末部分は、サポートスタッフの方に個別に手ほどきしていただき、取手を付けて完成。
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底辺部分をもう少しきつく編むことができれば、仕上がりが良かったかなと思いましたが、世界にたったひとつのかごを仕上げることができ、この小さな達成感は思っている以上に心地良いものでした。
山ノ内町でも杞柳産業の思い出が
今年は暖冬で雪解けも早いですが、私が住んでいる長野県の北信地域(中野市、山ノ内町など)は、積雪があるため冬場の畑仕事などは難しい地域です。
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中野市では、冬の閑散期にできる仕事として「土人形」や「柳を編む」産業・文化が発展し、そのなかの一つだった『柳を編む』産業は、現在は生産者、制作者はいなくなり過去のことになり、地域の人々の記憶からも消えつつあります。
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しかし、6、70代やそれ以降の地元の人々の記憶の中には、「柳の皮むきを手伝ったことがある」など、小さな経験談を伺う機会がたまにあり、今回講師を務めた畔上先生(隣町の山ノ内町夜間瀬、宇木地区出身)も、幼少期の記憶の片隅で、ご実家で柳を育てていたことを覚えていらっしゃいました。
「編む」ことで過去の記憶とつながる
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現在、産業としては消えてしまった「編む」ことですが、身近にある自然な材料や、庭や畑で柳などを育てて「編む」ことは、いつでも可能だと畔上先生から教えていただきました。
簡単にものが手に入る時代で、自らの手でものをつくることが減ってしまった現代だからこそ、手を動かして指先の感覚に集中して「編む」ことは、思っている以上にとても新鮮な感覚で、五感がリフレッシュされたように思いました。
「編む」ことで過去の記憶とつながり、指先を通して感じるものがあることは、私たちのささやかな生活を豊かにする経験の一つ。もっと多くの方に知ってもらいたいと思いました。
文:中村頼子
写真:中村頼子・水橋絵美
※本事業は中野市中野のチカラ応援事業補助金を活用しています。