オンライン診療初診(時限)解禁の通知を読む
オンライン診療の初診解禁(時限措置)ついに。
初診オンライン診療が時限的に解禁になりました。以下、速報ではありますが、通知の内容についてお話したいと思います。(正確を期してはいるところですが、万一誤り等あればご指摘いただければと思います。)
これが、今現在オンライン診療についての国の考え方ととらえると興味深いものがあります。
医療機関の診療報酬について
・初診については、214点
・再診は電話等再診料の(基本的に)73点。
(※他の管理料を算定している場合は取れない)
・処方をしたら、処方料等は算定可能
・以前から、特定疾患療養管理料(オンライン管理料)を算定している患者については147点のみ
診療手順
1、①音声のみか②音声及び動画で患者と接続する。
(注:チャットや静止画のみは以前からの「遠隔診療」の通知で(複数回重ねて)認められないものとされている)
2、診療を行うことが適していない症状や疾病等、生ずるおそれのある不利益、急病急変時の対応方針等について、医師から患者に対して十分な情報を提供し説明する。
3、説明内容は、①対面診療を組み合わせる必要があること
②実施する都度、医師がオンライン診療の実施の可否を判断すること
③疾病名、治療内容等(オンライン診療で行う具体的な診療内容)、
④オンライン診療と直接の対面診療、検査の頻度やタイミング等、
⑤診療時間に関する事項、
⑥診療の方法(使用する情報通信機器等)、
⑦診療を行わないと判断する条件とその条件があれば直接の対面診療に切り替える旨(情報通信環境の障害等により診療を行うことができなくなる場合を含む)
⑧患者が診察に対し積極的に協力する必要がある旨に協力する必要がある旨⑨急病急変時の対応方針急病急変時の対応方針(自らが対応できない疾患等の場合は、対応できる医療機関の明示)
⑩複数の医師がオンライン診療を実施する予定がある場合は、その医師の氏名及びどのような場合にどの医師が行うかの明示情報漏洩等のリスクを踏まえて、セキュリティリスクに関する責任、範囲及びそのとぎれがないこと等の明示
4、その説明内容について診療録に記載すること。
5、患者から同意書などをもらうこと。(注:署名などが入った同意書の画像でも問題ないと思われる。オンライン診療のガイドラインとそのQ&Aを参照)
6、対面診療が必要と判断した場合は、速やかに対面に移行する又は、連携している医療機関に紹介する
7、患者側から保険証の画像(FAXも可)を送ってもらう(電話での診療の場合、氏名、生年月日、連絡先(電話番号、住所、勤務先等)に加え、保険者名、保険者番号、記号、番号等の被保険者証の券面記載事項の確認でも可)((動画プラス音声の場合)医師の側は、写真付き身分証明書(写真と氏名、生年月日の記載のあるもの)を提示すること。)
8、うその申告での処方があったときは、都道府県に報告すること。
9、診療報酬の支払いはクレジット、銀行振込、スマートフォン決済などのキャッシュレス決済でも可能。
薬剤の処方について
・麻薬、向精神薬、薬剤管理指導料1の対象になる薬剤(http://shinryohoshu.mhlw.go.jp/shinryohoshu/ 薬剤情報分類閲覧システムに掲載)は処方不可(特に「リタリン」・・・)
・過去のカルテ、診療情報提供書、健診結果などで基礎疾患の把握ができない場合の処方は7日間を上限とする。
・A①患者からオンライン服薬指導の要請があった場合は処方箋の備考欄に0410対応と記載して、患者の希望する薬局に送信する。②送信先の薬局を診療録に記載する。③過去のカルテや診療情報提供書などで基礎疾患を把握できていない場合は処方箋の備考欄に記載すること。
・B院内処方の場合は、医療機関から直接配送も可能だが、①書留、レターパック(赤)や宅配便(患者に確実に届く方法)で送付すること、②薬剤を受け取ったことを電話等で患者に確認すること。
二度目以降の診療について
A以前から対面で診療している患者の場合
・・・これまでのお薬を処方することは問題がない。
・・・患者の疾患から発症が容易に予測される症状の変化には別の薬剤の処方可能。(①今まで(オンライン診療ガイドラインにのっとった)オンライン診療を行っていた場合は診療計画に発症が容易に予測される症状の変化を患者の同意のもと記載する。②それ以外の場合は、電話等の診療により生じるおそれのある不利益、発症が容易に予測される症状の変化、処方する薬剤について患者に説明して同意を得ること。その説明内容をカルテに記載すること)
B初診オンライン診療の場合
・・・①音声のみか②音声及び動画で患者と接続、オンライン診療の不利益を含めて説明を行う、適しない疾患や具体的にどのような疾患について誰が、いつ、どのように診療を行うのかなどの説明、同意書(の画像)を患者から取得、これらの説明内容をカルテに記載。患者医師ともに本人確認等を行って診療を行う。
・・・すなわち診療開始の手順と同じことを行う。また、初診の際に作成したカルテをもとにして基礎疾患の有無を判断してはならない。(基礎疾患の情報が把握できない場合は7日以上の処方はできない)
その他
・初診から電話やオンライン診療(受診勧奨も含む)を行う医療機関は月一回都道府県に実施状況の報告を行うこととされている。
・オンライン診療、電話などで診療を実施していることの広告は可能
・研修については特例が有効である期間、受講しなくてもよいが、特例が廃止されれば、研修を受けていない医師によるオンライン診療はできない。
・特例が廃止されたあとは、対面診療を行うこと。
新型コロナウイルス患者へ診療する場合
・自宅等療養の軽症患者には、診断した医師(新型コロナウイルス感染症の診断をした医師も含む)から情報提供を受けて(患者の依頼に応じて)電話やオンラインで診療して薬剤を処方することが可能(処方箋の備考欄には自宅療養者であることがわかるよう「Cov自宅」「Cov宿泊」と記載する。このことで、新型コロナウイルス感染症の軽症者であることが分かってしまうので患者からその旨の同意が必要)
・入院中の患者を診療する集中治療の経験が十分にない)医師が、呼吸器や感染症の専門医などとオンラインで連携して診療をすることができる。
まとめ
今回、初診から電話も含めたオンライン診療が時限付きではありつつも可能となりました。一応、診療報酬点数も対面診療程度に手当されています。患者さんにリスクをしっかり理解してもらい、進めていくことが重要です。オンライン診療ではリアルタイムの動画と音声をかたくなに崩しませんでしたが、今回の特例では電話でも可能という点が大きいと思っています。おそらく時限的とはいいつつも、3か月に一回感染症の状況等をみながら検討するという形が書かれていて、このまま進んでいきながら、問題がなければ、正式化するのではないかと期待はしています。