新型コロナウイルスの感染が広がってもオンライン診療がやりにくい訳


この記事で、オンライン診療が事実上禁止といわれていますが、

私が、オンライン診療の法令回りで業務を行っていると、謎以上に、ここ数年後退したという感覚です。

まず、現状のオンライン診療については、医師法20条の無診察診療の禁止という条文に抵触するか否かが問題になっています。
要は、診察もしないで処方箋や診断書を出したりしないこと。
という規定です。

元々はどうだったのか?

元々、遠隔診療(今でいうオンライン診療)については、平成9年に通知で、遠隔医療機器や、テレビ電話での一部診療について明確化されて以来、有名な一昨年のオンライン診療の通知が出る前までは、メッセージ(メール)だけの診療はダメと重ねて通知で言われていましたが、
音声だけの診療はダメとは一言と書いていませんでした。

合法な診療を元にして保険の支払基金から支払われる診療報酬の表にも、”電話等”再診と、あり、電話で診察をした場合には、診療料の一部を保険から支払います。と明記されているわけです。

オンライン診療ガイドラインでは?

さて、、これが、オンライン診療ガイドラインになると、”動画と音声で”と記述されるようになりました。
また、今までの通知(メールはダメと言いつつ、動画と音声でなければダメと言ってない)が有効であることも厚労省が言っています。
ここで問題なのは、音声だけの診療は、公的保険も効くし、今までの通知もダメと言っていないのに、オンライン診療ガイドラインで、
急に動画が必要と言い出してしまう。
では、違法なものが公的保険でカバーできるのか?という話になってしまいます。
それを厚労省に本気でぶつけたところ、
(毎度のことながら疑問には答えず)”オンライン診療のガイドラインでやってほしい”との一点張りでしたが、
さすがに今回、電話での診察による処方箋交付を解禁するという話が出ました。

電話では本当に診療できないのか?

電話での診察に不都合がある、診察にはどんな診療でも必ず視覚が必要であれば、視覚障害者は医師にはなれないことになります。
また、触診がどんな診療でも必須であればオンライン診療は動画と音声だけでは成立しません。

そのことからよく考えると、初めにお話ししたように、遠隔医療の取り組みは一旦、
一昨年”後退”したことになります。

これから、オンライン診療をメインにしているクリニックの運営法人に関与しているので、様子を見ながらぜひ、某大手医療メディアの連載を続けさせていただきたいと思うところです。

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