2023年の年末を迎えて。『宇宙をへこませるという壮大な理想を掲げる前に、まずはあなたの心をへこませないために』
昔チーズ職人のドキュメンタリーを見ていたら、親が息子に家業を継がせる時に『まだ甘い!まだ甘いっ!』と連呼して『休日なんてないし遊びに行きたいなんて言ってる奴は一人前にはなれんっ!!!!!!!!!!』と激怒しているのを見たことがありました。その番組を見ていて心の底から思ったのは、私は生まれ変わっても絶対チーズ職人にはなりたくないなということでした。
休みも遊びに行く時間もなく今日も過酷な労働を強いられているチーズ職人とは違い、相変わらず休みと遊びに行く時間だけは全国でもトップクラスで有している私は今年も年末に中華街を訪れました。
何で毎回横浜に行くのか?と問われると、そこに山があるからだ、みたいにそこに中華があるからだとか言いたいのですが、特に理由はなく、自宅から一番近く気軽に行ける海&おいしい食べ物屋が集合した場所だからとしか言いようがありません。
キラキラのイルミネーションとキラキラの未来を携えた若者たちを尻目に今年も年末の横浜を疾走します。
散歩している時、風呂に入っている時、かの有名なアインシュタインやニュートンは偉大な閃きをその最中に思い付いたと言われているので不意に私も空を見上げて見たのですが、見えてきたのは観覧車の中で楽しそうにはしゃぐ若人ばかりでした。
空を見上げればこの世には壮大な夢を掲げて宇宙にまで行ってしまう実業家がいる一方、今日も『地上の星』としてこの世を彷徨う人々もたくさんいます。
胸の内で中島みゆきが響きます。
今年も残す所数時間となりました。今年自分が残した業績を振り返って世界を変えるような試みどころか何か昨年に比べて大きな成果が残せたのだろうか?と窓際のテラスでワインを飲みながら考えてみます。
即座に特になかったなと思い、そのことを来年に生かそうと思ったのも束の間、ワインを飲み終え向かった中華街の魅力的でちょっと胡散臭い看板に惹かれ、店内へ入るやいなや提供されるアルコールによってその思いは瞬く間に泡と消えました。
中華料理屋では前菜を食べ終えた後に追加の飲み物を聞かれ、リストを吟味して紹興酒を頼もうと決めたのですが一向に店員はやってきませんでした。
自分で追加の注文を促しておきながら注文はいつまでも取りに来ない。入り口付近では新規の客が来ていたにもかかわらずいつまでも案内せずに待たされている。そして当の店員はなぜか店内の常連客とウィスキーの話で盛り上がっている。
稼ぐ気があるのかないのか、やる気があるのかないのか、全くわからないがこの塩梅がとてもいい。
仮に高級レストランがこのような対応を取ったら即座に文句を言うだろうが、中華街なら全く気にならない。むしろそれを期待してはいけない。なぜならここは中華街、この感じ、ゆるさを体感することが中華街としての醍醐味なのだから。
こうやって一年がまた穏やかに終わっていくのを感じながら去年も同じようなことを思っていたなと思い出す。
子供の頃に無限に続くように思われた夏休みも、恋人と過ごす素敵な時間も、かけがえのない家族との豊かな時間もいつかは終わりが来る。
自分が人間の平均寿命まで生きられる保証はどこにもない。刻一刻と現在も時間は減り続け、予期しないことで人生が終わってしまう可能性だって往々にしてある。年々自分の上の世代の人たちが亡くなっていき、残念なことに真っ当な寿命に到達する前に人生が終わってしまう人もいる。私たちに残された時間は思いの外短いのかもしれない。悲観的になる必要はないが一年を振り返るとつい時の速さを痛感してしまう。
マッチングアプリのデートサービスは無限に現れる理想に近づくための候補者と無限に知り合うチャンスを与えてくれるかもしれない。
携帯電話のアラームは、携帯電話の電源が続く限りどんなに多くの仕事をこなしても新しい仕事のタスクを無限に積み上げていく。
生産性をどんなに上げ無限の候補者に会い、無限の課題をクリアし続けても、そこに終わりはない。しかし私たちの時間は有限なのである。
一年の区切りがもうすぐやってくる。
私たちはまた次の一年に向けてお互いを祝い、抱負を掲げ、新たな自分を鼓舞することになる。
この一年の間に誰のSNSにもアクセスせずその日一日をやり過ごした人が一体どれくらいいるだろうか?なんとなくzoomで会議を行い、誰かのSNSのタイムラインを気にし、それに飽きたら誰かとお酒を飲んで胃袋が満たされたら眠りについてまた朝が来る。そんなことがずっと続く人生をこれからも送り続けるのだろうか?それは本当に自分が望んだ人生なのか?そこに違和感はないのか…?
何かがおかしい。
借り物の欲望という言葉があるが誰かが仕組んでいるのではないかとさえ思えてくる。いつしかそんなことをしていたら一年が過ぎていたなんて去年も言っていなかったか?
思い出してみよう、かつて時間を忘れて無我夢中で好きな絵を描いていた日々を。誰かに褒められることや賞を取ることなど考えずに没頭した時間を。容姿が能力がなどと気にすることなく夢中で遊んでいた幼い頃の日を。そんな時間こそがまさに『永遠』と呼ぶにふさわしい時間だったのではないか。もう一度それらを思い出し今こそ本当にやりたかったことをする時が来たのだ。
君の席は既に確保されている。
ここにはこなすべき無限のタスクも、チーズ職人のように過酷な修行もストレスも存在しない。必要なのはただ数本の鉛筆といくばくかのお金と、未来を描くための心のカラフルパレットだ。
さあ、来週日曜日、ともにアートについて語り合おう!!必要な道具は全てこちらで用意している!君はただ持ってくればいい、描きたい自分の未来の設計図を!
そして、それを描く場所は画用紙の上なんかじゃない。もちろん会社のデスクの上でもない。
そう、それを描く場所、それは…まっさらでまだ何色にも染まっていない
これからの君の未来そのものだ!
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冷たいシャワーを全身で浴びるように、
目が覚めるような2024年をともに迎えよう。
君のクリックを待っている。
ATELIER HAYATO NAKAZAWA
代表講師 中澤隼人