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《今日の新譜》Solo+木管四重奏 「美しい五月に」 シューマン『詩人の恋』より

《今日の新譜》Solo+木管四重奏 「美しい五月に」 シューマン『詩人の恋』より
クララ・シューマンとの悲劇的な別れを予感させる作品をどうぞ。
ぜひこちらからYoutubeで全曲視聴してみてください。
参考音源
https://youtu.be/h0mNSrbcSJE
Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ
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Solo+木管四重奏 「美しい五月に」 シューマン『詩人の恋』より

  1. Im wunderschonen Monat Mai from Dichterliebe Op. 48
    Robert Schumann

編成はFl.、Ob.、Cl.、Bsn.およびSoloパートです。
同梱のSoloパート楽譜はin F版(Hn.)、
in C版(Ob.、Mallet Perc.など)、
in C-Fl.版(Fl.、Pic.)、
in C低音版(Eup.、Bsn.、Tbn,、St.Bs.など)、
Tubaは1オクターブ下げて演奏可能です。
in B版(Tp.、Cl.、Bs.Cl.、Sop.Sax.、T.Sax.など)、
in Es版(Es Cl.、A.Sax.、B.Sax.など)が含まれています。
多くの楽器がSoloを担当し、伴奏は下の編成も含め4種類から選ぶことができます。
金管四重奏、サックス四重奏、クラリネット四重奏版は発売中です。

美しい季節と愛する人への想いを語った作品をさまざまな楽器の演奏で味わいたいものです。
コンサートピースの小品に、ぜひどうぞ。
楽譜をお求めの際はこちらからお願いします。

アトリエ・アニマート・ショップ
https://animato.official.ec/

アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3
https://animato-jp.net/rec-band/gakufu.html

とても美しい五月 僕の心の中には 恋が芽生えた
『美しい五月に』は、19世紀ドイツの作曲家ロベルト・シューマンが1840年に作曲した連作歌曲『詩人の恋』第1曲です。
ドイツ語の原題は『Im wunderschonen Monat Mai』。英語で直訳すると「in the beautiful month of May」。
『美しい五月に』を含め、連作歌曲『詩人の恋』の歌詞は、ドイツの詩人ハインリヒ・ハイネの詩集「歌の本 Buch der Lieder」から引用されています。
なお、『詩人の恋』が作曲された1840年半ばはクララとの結婚を直前に控えた時期であり、ロベルト・シューマンが次々と歌曲を生みだした
「歌曲の年」と呼ばれています。

シューマンは言わずと知れたドイツ・ロマン派を代表する作曲家の一人です。
音楽史上では「歌曲の王」と呼ばれたシューベルト(Franz Schubert 1797?1828)後のドイツ・リートの担い手とされています。
ハイネの詩にはシューベルトも、彼の最晩年の歌曲集「白鳥の歌」で6曲を作曲しています。
シューマンは30歳くらいまでピアノ曲を中心に作曲活動を行っていましたが、あるジャンルを集中的に創作し始めるのが1840年です。
この年は「歌の年」と呼ばれ、「詩人の恋」「リーダークライス」「女の愛と生涯」などドイツ・リートの名作を次々と作曲しました。
ちなみに翌年1841年は「交響曲」、1842年は「室内楽」の年となっています。

ハイネの詩はロマン派の作曲家に大きな影響を及ぼしました。またハイネが「シューベルトと同じ年」に生まれ「シューマンと同じ年」に
亡くなったということも何か因縁のようなものを感じさせます。「詩人の恋」の作曲された1840年は、シューマンがクラーラの父親であり、
シューマン自身のピアノの師匠でもあったヴィーク(Friedrich Wieck 1785?1873)を相手にクラーラとの結婚を認めてもらうよう裁判で争い、
勝利して結婚した年であった。シューマンはその生涯に270曲以上の歌曲を作曲していますが、この一年間で「リーダークライスOp. 24」から
「ベルシャザルOp. 57」まで120曲以上も作曲しています(歌曲の年)。

このハイネによる詩は純然たる定型詩です。各節1行目のみが8音節、あとはすべて7音節で成り立っています。そのリズム構成を見てみると、
1行目だけが、弱強 弱強 弱強 弱強で2,3,4行は、弱強 弱強 弱強 弱となっています。そして各節2行と4行が angen angen と脚韻をふんでいます。
この脚韻の部分のリズムは強弱なので、こういう韻を女性韻と呼び、余韻を感じさせる効果があります。

美しい季節と愛する人への想いを語った曲でありながら、とても不安定で浮遊するような感覚を覚える曲です。
二度の内部転調を伴う主部は、歌詞とリンクして美しく喜びや憧れを歌っています。ここでは、嬰へ短調の平行調であるイ長調の主和音(ラドミ)がきちんと登場します。
しかし、何度か回帰する冒頭の2小節がなんともいえない趣を持っています。
1小節目は長調へ、2小節目のドミナントは短調への指向性が強く感じられます。
歌詞に登場する「彼女」とはもちろん妻クララ・シューマンですが、彼女との悲劇的な別れを予感させるような、
またシューマンの心の内部を垣間見たような思いが残る曲でもあります。

『詩人の恋』(Dichterliebe)と言うのは、作曲に当たってシューマンが命名したものです。ハイネの初期の詩を集めた『歌の本』
(Buch der Lieder)の中の「抒情的間奏曲」と題する65篇の詩群から、シューマンが16篇を抜き出して作曲したものです。
その際のシューマンによる曲の配置が巧みです。第1~6曲は恋の芽生えと成就、第7~15曲は心変わり・絶望、第16曲は再生を歌ったものになっています。

歌詞の意味・日本語訳(意訳)
Im wunderschonen Monat Mai,
Als alle Knospen sprangen,
Da ist in meinem Herzen
Die Liebe aufgegangen.

とても美しい五月に
すべてのつぼみが開く
僕の心の中には
恋が芽生えた

Im wunderschonen Monat Mai,
Als alle Vogel sangen,
Da hab ich ihr gestanden
Mein Sehnen und Verlangen.

とても美しい五月に
鳥たちはみな歌う
僕は彼女に打ち明けた
彼女への憧れと想いを

2節からなる規則正しいの詩脚(Versfuss)に合わせてアウフタクト(弱起)で始まる曲ですが、いきなり冒頭のIm wunderschonen Monat Mai の
1フレーズ目から気をつけて演奏しなくてはなりません。ロマン派の音楽は古典派以前の音楽に比べ、旋律を「揺らす」傾向にあります。
この第1曲目が、「詩人の恋」全16曲の中でもっとも難易度が高い曲です。

アトリエ・アニマート
https://animato-jp.net/

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