わたしと、クルマと、ユーミンと。
先日、訪問看護に向かうクルマの中で
ラジオを流し聞きしていたところ
松任谷由実の「真冬のサーファー」が
リクエストに挙がっていた。
確かにその日はぐっと冷え込んで
朝、クルマのフロントガラスには
完璧なまでに霜が降りていた。
パーソナリティは
「〝真冬のサーファー〟が収録されている
〝流線型'80〟※1978年発売のアルバム名
は、シティポップの象徴のようなアルバム」
というような旨を語っていた。
流線型'80、
このアルバムを初めて聞いたのは
中学生時代だった。
生家には、1983年発売の
〝REINCARNATION〟から
ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ、
時をかける少女、が収録されている
〝VOYAGER〟、
表題曲が有名で、1曲目がアフリカに
行きたくなる〝NO SIDE〟、
つい呟きたくなる〝DA・DI・DA〟、
アカプルコってどこだろう、と
世界地図を広げた〝ALARM à la mode〟
大人になるまで天候のソレ、だと思っていた
〝ダイヤモンドダストが消えぬまに〟、
以前の記事でも書いた「どうして、どうして」が
収録された〝Delight Slight Light KISS〟、
飛んで、
毎年夏の終わりに聴きたくなる残暑、
わたしの中での都会の女性とは、
の解答になりそうな
Miss BROADCASTが収録された〝天国のドア〟、
NHK冬季五輪テーマソングで、
未だに自分の中で五輪を象徴する楽曲だと感じる
(もちろん出産前にも聞いた)
Happy Birthday to You~ヴィーナスの誕生が
収録された〝DAWN PURPLE〟…etc.
は存在していたと記憶しているが、
〝流線型'80〟は、なかった。
〝流線型'80〟を知ったのは、
母がプレゼントでもらった(らしい)
松任谷由実のベストアルバム
〝Neue Musik〟で
埠頭を渡る風、を聞いたのがキッカケである。
疾走感のある切ない主旋律に、Bメロの
「もうそれ以上 もうそれ以上
やさしくなんて しなくていいのよ」
という歌詞が、
当時のわたしには
引っかかって、引っかかって、仕方なかった。
今なら、なんとなく、わかる。
楽曲を聞くと、その収録アルバムを
聞きたくなってしまうのが性癖のわたしは
「気になるアルバム」を書き溜め、
中学生になってから
わずかなお小遣いを握りしめ
現在は潰れた近所のレンタルビデオショップへ
元のアルバムを借りに行ったのであった。
18歳になってから、運転免許を取得し
改めて楽曲を聞いてみると、
松任谷由実の楽曲はどれも
ドライブの解像度が高い。
「ゆるいカーブで あなたへたおれてみたら
何もきかずに 横顔で笑って」、だなんて
実際経験しないと書けない歌詞ではないだろうか。
ご主人がクルマ好きで知られる
松任谷正隆であるのは言わずもがな、だが
ご本人もそれなりに
クルマが好きだったのでは、と推察する。
現在、愛車の「黒のクウペ」で
ゆるいカーブを2速~3速で曲がることはあるが
同乗者が倒れてくることはほぼ、ない。
わたしの脳裏で浮かぶのは、
矢沢あいの少女漫画、NANAの登場人物
幸子のセリフである。
「わざとだよ?」
あんなに自立した恋愛の教祖様でも
そんな可愛らしい一面がある(のかもしれない)
ことを想うと、年齢を重ねてより一層
松任谷由実が好きになってきたのであった。