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また、やらかしていた。

※画像は黒部ダムにて撮影

前回の記事から随分と
月日が経過してしまっていた。



前々回のnoteでも「怒涛だった」
と言う表現を用いたが
それ以上に、怒涛の数ヶ月間を過ごした。



仕事は毎日、
「今日も一日無事でいられますように」と
祈りながら過ごし
春には祖父がかつて乗っていて
いつか死ぬまでに乗れたら、と考えていた
スリーポインテッド・スターを迎えたが
アルコール依存症の元配偶者に
家と車を奪われ
暫し、ホテル暮らしを強いられることとなった。
子供達が夏休みであったこと、
トラブルの対処に時間を割かれても
割り当てられる有給休暇が
それなりにあったことが
不幸中の幸いであった。



アルコール依存症を治療する、と約束した
とある病院とは一悶着あった。
「患者の意向なので」と勝手に退院させて
私宛に事後報告で電話をよこした。
全身に血液が巡るのを感じながら
「あの人が凶器を持って
私と子供達に襲いかかってきたら
どうするんですか」
と言った。こちらも医療従事者である手前、
下手なことは言えず
語気を強めてそう言うのが精一杯だった。
「その時は、警察に電話してください」
淡々とそう言う電話口に
怒りよりも先に絶望しかなく、
これは世の中に医療不振になる人間も多いわな、
と痛感した。



次々に降りかかる事象に、
まるで紙用カッター1本で
無人島に放られたような気分だった。
安息の地を開拓するのに、
鬱蒼と覆い茂る草を切っても、切っても
前が見えなくて、
そのくせ、紙用カッターなんて
非力な道具を振り回すお陰で
日々の疲労感だけは尋常ではなくて。
これが大型カッターならよかったのか?
バタフライナイフならもっといいだろう。
とにかく、今の自分のスペックは
紙用カッターでしかなかった。



仕事も、暮らしも、騙し騙し
最低限のタスクをこなし
病院勤務時代の悪夢が蘇ってきた。
「またここから鬱っぽくなってしまうのかな・・・」
「いや、もう絶対にあの頃に戻りたくない」



盛夏のある日、
全てを抱えきれないと判断した私は
職場に退職を申し出た。



_____自分の今請け負っている仕事を
こなしていけば一つの収入源を失うダメージは
さほどではないだろう、だが
シングルマザーとして正社員の立場を失うと
今後何かあった時に困るだろう、
だけどもう、誰とも喋りたくないし
関わりたくもない、
人をまとめるなんてとんでもない、
人と接する仕事ももうしたくない_____



上司に涙を与えてしまったが、
期限を決めて
しばらく考えることとした。



それから、新居を決め
家電を調達し
その他諸々の手続きを進めながら
随分気分転換もした。
仕事が好きで、スケジュールに空きがあると
仕事を詰めてしまうくらいに
ワーカホリックだったが
この状況を知る周囲が心配し、あちこちに
連れ出してくれた。
新居に移ってからは
子供達のケアも考慮して
仕事のスケジュールを調整した。
最初は空白の時間に
何をしたらいいか分からずに
虚無になることも多々あったものの、
密かに憧れていた
「丁寧な暮らし」を少し齧りだせたことに
喜びを感じた。



紙用カッターなりに休憩所が作れた気がした。



暦の上では
盛夏はとっくに過ぎているのに
気候的にいつまで続くのか
分からなかったある日、
私は上司に
「もうしばらく頑張ってみます。」と伝えた。



きっとまた走れるね

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