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planetarianの話

天国を(ふたつ)に、わけないでください…

 今日、11月5日は「ほしのゆめみ」の命日だ。より正確にいえば、公募の末、「ほしのゆめみ」と名付けられた、とあるSCR5000 Si/FL CAPELII型ロボットの筐体が、その機能を停止した日である。

 …とかなんとか書き出してみたけれど、早い話がアニメの話です。設定上は2078年11月5日。「planetarian」というアニメ。配信版(ちいさなほしのゆめ)と劇場版(星の人)とがあります。dアニメで両方観られます。アマプラでも両方観られたのですが、今は劇場版のみの配信になっている模様。ただ、個人的には、後述の理由から、配信版も見てほしいな…。

(配信版のあらすじ)
世界大戦後の降りやまない雨の世界。細菌兵器の影響で、人々に見捨てられた最も危険な街【封印都市】。その、デパートのプラネタリウムに、ロボットの少女がいた。彼女の名前は“ほしのゆめみ”。彼女はプラネタリウムの解説員で、1年間にたった7日間しか稼働することができない壊れかけのロボットだった。そこで彼女は、30年間いつか誰かが訪れることを信じて、1人誰もいないこの世界で待ち続けた。そして、30年目の目覚めたその日に、彼女の前に1人の男が現れた。「おめでとうございますっ!あなたはちょうど、250万人目のお客様です!」突如現れたロボットに警戒する男・“屑屋”。貴重物資を回収することを生業とする彼は、【封印都市】に潜入中、都市を徘徊する戦闘機械(メンシェン・イェーガー)の襲撃にあい、このプラネタリウムに迷い込んだのだった。「プラネタリウムはいかがでしょう。 どんな時も決して消えることのない、美しい無窮のきらめき……。満天の星々がみなさまをお待ちしています」星すら見えなくなった滅びゆくこの世界で、彼はそこで何を見るのか。1年で7日間しか稼働できないロボットの少女が、目覚めたまさにその日に訪れた偶然。そこで起こった奇跡とは――。

 公開されたのは、両方とも2016年。ただ、そもそもの原作は2004年に発売されたKeyのビジュアルノベル。いや、正確にはキネティックノベルって言うらしいけど。エロゲ要素は一切ありません。そもそも、「星の人」の方ならともかく、ゆめみちゃんの方はそういう”機能”はなかったような…。

 閑話休題。実は、そんなにKeyの作品って大好き!というわけではなかったのですが、この「planetarian」に関してはものすごーく、自分に刺さった作品でした。

 あらすじだけ読んで、ありがち、とか、テンプレ、と思う人もいるかもしれませんし、正直、それを真正面から否定しようとは思いません。ただ、自分にとっては何故か刺さりまくりました。

 多分、それはこの作品の背景、設定が自分にとって、容易に現実と地続きであると思えたことが一つの要因なんだろな、と。色々な意味でありえる未来だなと心の底から思えてしまう。まぁ、劇場版のパンフ見ると、シオマネキのデザイン等々のあたりで、シナリオの涼元氏がまさしく「現実から地続きの未来」として感じて欲しかったというような話が書いてあるので、その術中にハマってしまったんでしょうww
 そして、止まない雨が降り続き、星が一切見えない世界というのも、直感的な絶望を呼び起こすというか。その位置や光が発生した年代は違えども、紀元前の人たちと、基本的には全く同じ星を我々も見ているわけで、そしてそれは2000年後も同じことが言えるはず。だけど、その過去とも未来とも断絶されてしまった絶望が、まずストンと心に落ちました。たとえ、北斗の拳の世界だって、星は見えるわけですよ。死兆星が見えるんだから。

 そんな世界のなかで、プラネタリウムというものに出会い、「屑屋」から「星屋」になっていく…、そのへんがどうしようもなく、感情移入できたのでしょう。多分。

 配信版、劇場版通して、基本的には救いのない話なんですよね。ただ、自分としては、人類の歴史がもし終わるのならば、それは戦争以外にありえないと思っているし、結局のところ、それが自分が死ぬまでに起きるのか、もしくは死んだ後かの違いしかないだろうなと思っています。んでもって、そういう世界を前提に、ある種の希望が描かれていたりもするので、そのへんもしっくりきます。

 ところで、配信版の内容は、劇場版にも含まれてるんですが、個人的にはぽんこつなゆめみちゃんが見られるので、配信版の方もオススメです。カットされてしまったところのオススメは、屑屋に、執拗に、ペンチは使わないかと勧めたところ、自分の口でもつまんでろと返されてしまい、?な困り顔をするゆめみちゃんですね。

 ここ最近、某共和国がよくミサイルを飛ばしてみたり、香港があんな感じになってたり、なんとなく我々の日常は薄氷の上に立ってるんだよなぁという感覚が共有でき、ついでにロボットをかわいく思える人ならハマると思います。配信版は5話で合計90分ほど、劇場版は2時間くらいです。秋の夜長と長雨のお供にぜひ。

プラネタリウムはいかがでしょう?
どんな時も決して消えることのない、美しい無窮のきらめき…
満天の星々が、みなさまをお待ちしています…

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