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「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」解説と感想

レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピット共演の映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を鑑賞した方、理解できましたでしょうか?

今回はイマイチ意味がよく理解できなかった人に向けて、時代背景や題材となった事件のことなど解説も加えて、感想を書いてみました。


あらすじ(結末までネタバレあり)

落ち目の俳優とスタントマン

リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は落ち目の俳優。
そして彼を支えるスタントマンはクリフ・ブース(ブラッド・ピット)。
立場は違えど大親友同士である。

隣人「シャロン・テート」

そんな中、映画監督ロマン・ポランスキーと妻で女優のシャロン・テートが隣の家に引っ越してくる。

隣人同士とはいえ、特に関わりあうこともなく物語は進んでいく。
出演時間こそ少ないかもしれないが、シャロンは実は裏主人公。
理由は後述します。

謎のヒッピーとコミューン

クリフは可愛らしいヒッピーの女性に声をかけられ、彼らのコミューン(小規模の村や集落のこと)に連れていかれる。

最終的に住人たちと揉めてしまいますが、無事帰宅することに成功。
以降、クリフはこのコミューンやヒッピーに関わらないことにする。

実はこのコミューンの正体はチャーリーと呼ばれる教祖が取り仕切る宗教コミュニティだったのだ。

役者の苦悩と大きな仕事

一方、リックは、酒に溺れてしまいまともな演技ができないという醜態を晒してしまう。
リックはこの一件で反省し、その後は役者としての仕事を全力でこなします。

するとイタリア映画の主演の仕事が入ることになった。
そして仕事を終えた1969年8月、イタリアでの映画で共演した女優と結婚したリックはアメリカへ戻ることに。

結婚するので金銭的にもクリフをこれ以上雇うことは難しくなった。

事件と結末

大親友・クリフに別れ話をした後で二人はお酒を飲みに行った。
仕事仲間としては最後の夜、お互い酔い潰れる気持ちだった。

ちょうど同じ頃、妊婦・シャロンが友人たちと食事に出掛けていた。
同じ時間帯に帰宅すると、リックたちの家の前に見知らぬ怪しい車がやってきた。
その車には例のコミューンの若者たちが乗っていた。
教祖の命令でポランスキー邸にいる人間を殺害しにきたのだ。

しかし若者たちは入った家を間違えた。
そこには愛犬の世話をするクリフの姿が。
若者3人は返り討ちにあい、クリフも怪我をしたが命に別状はなかった。
リックはクリフが命がけで自分と妻を守るってくれたことを知り感謝とともに友情を再認識する。

騒ぎを聞きつけた隣人がリックをパーティに誘うところで物語は終わり。

リックとクリフの友情は永遠。シャロン・テートとお腹の赤ちゃんは生きている。めでたし

物語の重要なカギ

シャロン・テート事件って知ってる?

1969年8月9日、女優シャロン・テート(妊娠8ヶ月)が自宅でと友人と共に殺害された事件。

犯人は狂信的なカルト教祖チャールズ・マンソンの信者。
チャールズ・マンソンはポランスキー夫妻に恨みがあったわけではなく、この家に以前住んでいた音楽プロデューサーに恨みがあったと思われる。

しかし殺す相手を間違えたわけではなく、マンソンはポランスキー邸とわかっていて犯行に及んだ。
見せしめのためと憶測される。

数日後、同じような手法でスーパーマーケットチェーンのオーナーだったラビアンカ夫妻が殺害されたことでアメリカでは「テート・ラビアンカ事件」と呼ばれている。

ヒッピーって?

1960年代、アメリカに「ヒッピー」と呼ばれる若者たちがいた。

ヒッピーとはアメリカに根付いていた従来のキリスト教的価値観に対抗し、性の解放や戦争反対など、既存の社会システム反抗することによって、もっと自由な社会を目指そうという主張を持った若者たちのこと。

女性は露出度高めの格好をしていたり、髪を異様に伸ばしていたり、特殊なファッションでも有名。
若者が国に対抗し制度を変えようとした、という点では日本の「学生運動」が近い概念かもしれない。(ただしヒッピーは非暴力、学生運動は暴力的なのは対照的。)

ヒッピー文化はアメリカ発祥だが、世界中に波及していき人権問題や性、東洋文化への関心(ヨガなど)など、若者やアメリカ国内だけにとどまらず現代にまで世界中に影響を与えている。

ある意味、アメリカの歴史を変えた若者たちとそのムーブメントのこと。

チャールズ・マンソンと宗教

自分の手は全く汚していないが、シャロン・テート殺害を指示したのはチャールズ・マンソンである。
マンソンはカルト宗教のカリスマである。

アメリカ版オウム真理教といえば分かりやすいか、単純な話が教祖だった。
中流階級の若い女性やヒッピーに取り入るのがうまく、ドラッグやセックスを与え洗脳していった。

その女性たちを使って、男性信者を増やすことにも成功し、勢力を拡大した。

結局はパラレルワールド

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は実話を少し交えたストーリーですが、オチが違うんですよね。

シャロンお腹の赤ちゃん、友人は助かりませんでした。

映画の方は勧善懲悪でスッキリなのに対し、現実の胸糞具合と言ったらすごいです。

落ち目の映画俳優リックとスタントマンのリックのコンビ。
イケメンコンビでなかなか見応えがありましたが、この映画の創作キャラです。

感想

「レオ&ブラピ」コンビの見応え

ハリウッドを代表するイケメン俳優二人の共演で、かなり見応えがありましたね。
レオナルド・ディカプリオはやはり演技で魅せる人。

ブラッド・ピットは引き締まった肉体と豪快なアクションがカッコよかったですね!

レオ様は「タイタニック」、「グレート・ギャツビー」、「キャッチミーイフユーキャン」など何本か見たことがあるのですが、ブラピの映画はあんまり見たことないので、見てみたい思いました。

パラレルワールドって発想は素晴らしい

終盤に、事件が起こる時間までのカウントダウンみたいなものがあり

「うわ。とうとうあの悲惨な事件シーンが始まるのか。(ドキドキ)」
と思っていました。

そしたら犯人が入る家を間違えているわ、ブラピが余裕で返り討ちにするわでびっくり!
現実には凄惨な殺され方をしたはずのシャロンが何もなかった(実際、映画内のシャロンは一連の騒動を何も知らない)ように日常を送っている。

もしかしたら、こんな未来もあったのかもしれないと思わせる演出でした。
50数年前に起こった何の罪もない人たちが無惨にも殺害されるというショッキングな事件を、また違った記憶で上書きできたような、そんな気持ちになりました。

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