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陶器製「陶キーキャップ」の作り方

本記事は自作キーボードアドベントカレンダー2022#2の18日目の記事です。

モチベーション

自作キーボードイベントのキー部2%に参加したとき、タイルをキーキャップにしたタイルキーキャップを展示しました。参加者と話をしていて「焼き物でキーキャップ作るにしても陶芸教室通うのも難しいよなー」とワイワイ話をしていました。
後日、ふと「そういえば自宅で陶芸キットみたいなやつあった気がする」と思い調べてみると…あるじゃないですか!?という訳でオーブン陶土を使って自宅で陶器製のキーキャップ「陶キーキャップ」を作ってみた話です。

主な材料

オーブン陶土 (Amazonで購入)
オーブン陶土のコーティング剤 (Amazonで購入)
オーブンレンジ (楽天市場で購入)
キーキャップの型 (3Dプリンタで印刷)

試作

成形

大雑把に言うと粘土をキーキャップの形にして焼けば出来上がりです。ポイントはどのようにキーキャップの形にするかでしょう。試作では過去に作ったレザーキーキャップで使用した型を再度活用します。レザーの場合は水で濡らして柔らかくした革を型でプレスして乾燥させ成形しました。

前に使ったキーキャップの型

今回はオーブン陶土を型に入れて成形です。

陶土を入れていく
凸凹の型でプレス(指で押す)

はみ出た部分はつまようじで取り除きます。

割と細かい作業

半渇きになったら、陶土を水で溶かした"ドベ"を塗ります。
これで表面をなめらかにするのだとか。

ドベ
ドベを塗ったあと

しっかりと乾かすと…

おおう…。

割れてしまいました。どうやら乾燥時に収縮するらしく、凸側につけて乾燥させると割れてしまうようです。凹側につけて乾燥させたところ割れずに乾燥できました。この試作の結果から収縮度合いを見積もる必要がありますね。

乾燥させたあとは凹型からも剥がれているため、逆さにするとポロっと取れます。単純にドベを塗っただけでは粗さが目立つため、ヤスリがけもしました。しっかりと乾燥させるため約1日乾燥させます。

今回は割れなかった

焼き

オーブンレンジを用意します。…が、我が家には電子レンジとオーブントースタしかないため1度実家に帰り借りました。オーブン陶土の説明書きのとおり、170度で様子を見ながら40分ほど焼きます。

異様な光景
クッキーみたい

おおおおー!焼きあがりました!陶器のキーキャップですね!

焼きあがった陶キーキャップ

さらにコーティング剤を塗って110度で20分焼きます。

コーティング剤
チョコ味の焼き菓子のよう

表面の色味もツヤ感が出ますね。

自宅に帰ります。いつもの通り、3Dプリンタで印刷した軸を使ってキーキャップにします。

できました。いいですね!

改善ポイント

ただ、問題点ありです。キーキャップ型の隙間部分が大きくキーキャップとキースイッチ筐体が干渉してカチカチ言います。これを改良していきます。

完成版

型の設計

型に問題があるため、再度3Dを設計します。

実は数値いろいろ間違えてる

やはりキートップに凹みがある方が打ちやすいため、いい感じの凹みをつけます。また、乾燥して全体的に収縮することも考慮してすこーし大きく型を作っておきました。

できました。さっそく印刷していきます。印刷ミスしたときがツライのと、複数同時に作っていきたいため型も複数印刷します。

実り
収穫

無事に印刷できました。少し段差ができましたが内部をヤスリがけをします。表面を整えたりコーティング剤塗るのでそこまで神経質にならなくても良いかなぁと。少しのデコボコは陶器作品の味と言うことにしておきます。

成形

さっそく改良した型でキーキャップを作っていきます。
他の色も試そうと別色のオーブン陶土(ミルク色)も購入しました。

カーブ部分が悪さして外れなくならないか心配
かわいい!

おおおー!違う!試作品と違う!肉厚が薄くなり凹みもいい感じです!ミルク色も良い!

焼き

次は焼きの工程ですが、毎回実家に帰るのもめんどくさいです。そこで、オーブンレンジを購入しました!

実家とほぼ同じやつ

焼きます。購入して初めて焼いたものがキーキャップとなり、妻が複雑そうな顔をしていました。

お菓子のよう

焼きあがりました!「このキーキャップめっちゃかわいくね!?」と言ったところ妻はさらに複雑そうな顔をしていました。

これはもう焼き菓子

試作と同様、コーティング剤も塗って110度で20分焼いて完成です。

つやが出る

追記(2023/01/16)
コーティング剤を薄めて使っていますがごくわずかにべたつきが…。そこでMr.スーパークリアー UVカット つや消し スプレーをさっと吹くことに。塗装しているわけではないですし、陶器なのでそのままでもよいかと思うのですが、表面の保護代わりになればということで処理しています。触り心地もサラサラになるし。

大量に作っていく

あとは大量生産していくだけ。まずは自分で使うために70個作れたらなと、ちまちま作り続けています。記事公開時にどうにか半分まで(片手分)できました。BOOTHでもすこし頒布できたらなぁと考えています。需要はあるんか???

型で成形して乾燥させて、ドベを塗って整えて、紙やすりで表面を整える
焼く
コーティング剤塗ってさらに焼くの繰り返し

陶芸家なんか???

キーキャップの軸

キーキャップの軸部分も3Dプリンタで印刷します。ちなみに、この軸部分は自キー2%での発表資料と共にGithubで3Dデータ公開しているのでどうぞ。みんなも軸印刷して好きなもの乗せてオリジナルキーキャップつくろう!

実り 収穫

こよりを作って差し込んでおくことで軸の中にある水分や固まり切っていない微量のレジンも吸い取ります。

ざっと洗浄して、超音波洗浄機で洗浄して乾燥

3Dプリンタ製の軸はエポキシ接着剤で接着します。中央の位置合わせには治具があると便利です。これも3Dプリンタで印刷したやつ。

治具があると楽

片手分作成できました!2色用意したのが良かったです。満足、満足。

制作小話

小話1:研磨工程

乾燥させたあと、焼いたあと、コーティング剤塗って焼いたあとの各工程でヤスリがけしてます。かなりめんどくさい。部分的にヤスリがけを省いても最終的な出来上がりはそこまで変わらないと思うので、試行錯誤が必要。

半分乾燥させてドベを塗ってさらに乾燥させたあとの研磨は影響度合い大。
焼いた後は影響度合い小。コーティング剤の塗り方が悪いのか、すこーしべたつく個体がでる。コーティング剤を塗って焼いたあと細かいやすりで研磨してあげるとべたつきが気にならなくなった。

研磨中に力を入れすぎて砕けることも。悲しい。

表面を研磨する工程で6個に1個ぐらいこうなる。すごく悲しくなる。

小話2:焼き物

セラミックのキーキャップ「セラキー」も販売開始しましたね!私も購入しました。届くのが楽しみです。

調べると焼き物の中でも陶器、陶磁器、セラミックと大きく分類されるようです。セラキーの紹介ページを見てみますとアルミナセラミックを使用と記載がありました。酸化アルミニウムを使ったファインセラミックの1種だそうです。どちらかというと陶磁器に分類されるのかな?今回の陶キーは陶器なので、落とすと割れるし、LEDも透けないです。

小話3:お菓子

せっかくオーブンレンジを購入したので、パウンドケーキもクッキーも焼きました。(クッキーは写真を撮り忘れた…。)

パウンドケーキ

終わりに感想

振り返るとまぁまぁ大変で手間がかかっているなと思うけど、やってるときは楽しくてワクワクしながらやっていたので全然苦じゃなかったです。(さすがに両手分つくるのは大変だなと感じてるけど…。)

以上、陶器製のキーキャップ「陶キーキャップ」でした!


この記事は 椅子キーMooseChair で書きました。


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