玲央, 久しぶりだね。 玲央とはずっと一緒にいるけど、手紙を書くこの関係は特別。 大事にしている気持ちや想いを言葉にしてしまうのは正解なのか、パパには分からない。 読んでくれる人にしか分からないかもしれない。 一方的に話されている玲央にとって言葉とは何なんだろうね。 玲央への刺激の一つに過ぎないとすれば、言葉の意味なんかよりも、話すタイミングや勢い、声量、トーンなどが大事になってくる。 玲央はパパの声を聞くことでパパの存在を再確認するよね。 意味を求めない。 一緒にいるか、
玲央, パパは玲央のかんしゃく発作を押さえるつもりで 玲央の体を痛めつけてしまう時があるんだね。 酷いパパだね。 自分のことが嫌になるよ。 玲央が怒りそうになったら、気をそらして、 いい気分にさせればいいと分かっているけど、 うまくいくとは限らない。 玲央を部屋から連れ出しても発作が治まらない時は恐ろしい。 恐ろしい泣き声、恐ろしい力、恐ろしい息子… 激化する暴力を止められなくて、 パパは耐えれなくなる。 だから、玲央が化け物に見えてしまう前に、 愛情に憎しみが入れ替わらな
玲央、 好きなだけ散歩したり、時間をかけて街を回ったりして楽しむことがなかなかできない。 そのおかげだろうか、家のすぐ近くでも、なんでもない道や建物、自分が特に必要としていないはずだった場所に深い愛着を持っていることに気づいた。 切ない気持ちでもあるけどね。 ストレスに追われている毎日、眠れない夜、痛む身体、玲央にもママにもパパにも当たり前のことだけど、玲央と向き合える体調ではないと訴え、支え合うどころか不満を言い争うママとパパを見て、玲央はつらいだろうね。 パパは正直しん
玲央、 癒しを求めて京都へやってきたけど たどり着くまで本当に長かったね。 手に入れた環境は想像以上に綺麗。 境界のない庭のように 街並みは緑に溢れている。 同じ人間社会で死を恐れて自然に身を任せられないという人がほとんどだというのに ここならありのままの玲央が見られる気がする。 変わったって目立たない。 迷ったって焦らない。 伸びなくたって居られるよ。 一緒に立ち止まっていたい。 人を傷つけないそんな存在 当たり前になればいいよね。 パパより
玲央、大好きな玲央 ママと3人で京都に住み始めて1年 17才になった玲央はもう子どもではないけれど 重症心身障害者であることには変わりはない 玲央とパパの間にあるのは 大きな壁でもあり、強い絆でもある 愛に溢れる特別な関係 2人を結ぶ愛は何でできているのか? 思いついたこと、気付いたことや 色々な出会い、決して普通ではない日常 生きていくには言葉にする必要なんかない 言葉が通じない息子なら尚更 でも読んでくれる人たちに 玲央の存在に気付いてもらえると信じて 書