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新横浜→東京

帰省や旅行、あるいは出張で東海道新幹線を利用する機会がしばしばある。その帰途、東京に向かって走る車内で、「ああ、東京に戻ってきたんだ」と体が感じ始めるポイントが3つある。

一つ目のポイントは新横浜駅である。新横浜駅は、西から来るすべての列車が停車する。ひっきりなしに列車が入線してくる上、停車時間も短い。また、ここで多くの人が下車していく。そして、新横浜を出ると、電車は一気に加速していく。武蔵小杉のタワーマンションが見えて来るあたりまでのわずかな時間を高速走行する。それから一気に減速して、かなり高い位置にある高架橋を、品川駅に向けて進む。

次のポイントは品川駅だ。ここで乗客の7割くらいはいなくなる。人気が少なくなり、車内には束の間の静寂が訪れる。普段から東海道新幹線の車内は静かなことが多いが、ここでいう静寂は、人がいる時の静かさとは別種のものである。耳にはガタンゴトンと列車の車輪がレールの繋ぎ目を踏む音が聞こえてくる。また、品川から東京にかけての区間は、首都圏を走る多くの在来線と並走する区間でもある。静かな車内から、あくせくと動いている在来線を眺めたり、車窓から見える駅に響いているであろう喧騒を想像したりする。この時間が、最も旅の終わりを意識させる。

最後のポイントは、もちろん東京駅だ。東京駅入線前の減速段階から、車内にいる人の動きが慌ただしくなる。私も忘れ物がないように荷物を確認したり、椅子のリクライニングを起こしたりして、降車の準備を進めていく。東京駅に着き、ドアが開けば、そこには騒音が待っている。しかし、この騒音も不思議と心地よく聞こえるものだ。旅の余韻に浸っているからかも知れない。

次に新幹線を利用するのは、年末年始の帰省だろうか。

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なおさん
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