03.01 苦手な季節
2021は
永遠に割り切れなくて
やりきれなくて
閏日なんてなくて
短い2月は去年よりも短く消えていきました。
3月はライオンのように始まると言うけれど、今日は空が穏やかで、春が来てしまうと思いました。
春が苦手です。
冬の澄んだ空気が白くぼやけていくから、
春はいつも目が眩むのです。
ぼやけた視界から離れたくて目を瞑ると、
部屋だって外だってどこにいても同じ温度が肌を埋めるから、今度はどこにいるのか分からなくなってしまうのです。
仕方なく桜を眺めてみると、風が吹く度に散り散りになっていく花弁が、この季節が来る度に散り散りにされる人間みたいで、僕はただ呆然としてしまうのです。
花を盛った桜は彼の目には一列の襤褸(ぼろ)のように憂鬱だった。
3月の初めに生まれたあの人が、2月の終わりに生まれた僕と同じような世界を観ていてなんだか安心してしまうのです。
変わっていく季節は、変われない僕を焦らして惑わして。
僕は途方に暮れながら、阿呆みたいな顔で、
この季節の終わりをただ待つことしかできないのです。