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【日本】マクロ市場環境「経済センサス活動調査」~企業・事業所・従業者数~
はじめに
今回は、日本のマクロの市場環境を把握するための材料として、
「令和3年経済センサス‐活動調査 産業横断的集計」の内容を整理・可視化しております。
ビジネスの現場での
✓俯瞰して事業や経営を構想する
✓大きな流れや傾向、構造を理解して意思決定をする
✓新たな事業や既存の事業の成長性や可能性を検討する
✓個人として就職や転職、起業する際に選ぶ業界を大きな観点で整理する
といったタイミングでの最も根幹となる情報として活用いただければ幸いです。
また、普段の生活においても、具体的な経済構造がどのようになっているかを把握するための材料として有用かと思いますので、興味のある方は読み進めて頂ければと思います。
今回は、第二弾として
産業分類別の企業数・事業所数・従業者数について整理しました。
(他の指標も今後整理します)
※第一弾~売上高・純付加価値額~については、こちらを。
https://note.com/at_consulting18/n/nf47674263cb5?sub_rt=share_pw
産業分類別~企業数・事業所数・従業者数~
①産業分類別・従業者数
✓日本の産業で最も従業者数が多い産業は、「卸売業,小売業」で約1,161万人。
✓従業者数をみると、「卸売業,小売業」「医療,福祉」「製造業」「サービス業(他に分類されないもの)」の4産業の合計で約55%と過半に至っている。
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【チェックポイント】
従業者数
✓国内の労働者がどういった産業に多く属しているのか。
✓マーケティングの際に、労働者をセグメントに分けようと考えた際に、その人たちがどういった環境で労働しているのか、どういった労働をしている人が国内には多いのかを大まかに捉えるための前提として活用。
✓また、産業に属する人が多いということは、その分「人」をテーマにしたサービスやソリューションの幅が広いということ。
②企業数
✓企業数においても、「卸売業,小売業」が最多で約74.1万の企業が存在。
✓上位4産業で全体の過半を占めており、「卸売業,小売業」「宿泊業,飲食サービス業」「建設業」「製造業」が該当上位4産業。
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【チェックポイント】
企業数
✓国内の企業の数を産業ごとに把握が可能。
✓ToB向けのサービスを実施している場合、対象の産業の企業数を把握することは、潜在顧客の総数を捉える要素となる。
✓企業数の構造の変化は、広く経済環境の変化を表す。
✓企業は顧客に対して(法人・個人双方)サービスを提供しているため、企業数が多いということは一定その産業が求められているものであるという理解にもなる。(※売上高や一企業当たりの売上と連動してみるべき観点ではある)
③事業所数・従業者数増減(2016‐2020)
✓ 2016年から2020年にかけての従業者数・事業所数の増減は、コロナウイルスの感染拡大が大きく影響しているという側面が存在している。
その中で、高齢化による需要増も影響している「医療,福祉」が従業者数・事業所数ともに最も増加数が多い。
✓一方、コロナにより需要に大きく影響を与えた「宿泊業,飲食サービス業」の従業者・事業所数は大きく減少。ECやD2Cの普及している「卸売業,小売業」の事業所が最も減少。社会の需要や環境の変化が従業者や事業所の増減に大きく影響していることが想定される。
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【チェックポイント】
従業者数増減
✓産業ごとの従業者数の増減は、労働者の労働所属の移動を表している。
✓今回のコロナ影響を考えるのが分かりやすいが、労働者が不要になるということは、
≒サービス提供の必要が減る≒需要減少
ということを表す。そのため、労働者の減少傾向がある産業というのは、需要が低減している可能性があると考えることが可能である。
✓一方、ここで同時に考えないとならないのが、昨今の生成AIやIT関連の技術のように、従来の労働者の役割を代替する何かが表れるという現象も発生することである。(産業革命と呼ばれる現象を起こす内容でもある)
この場合は、従来の企業競争環境が大きく変化するタイミングでもあるので、チャンスも大きい可能性がある。
✓これらの要素を複合的に考慮し、従業者の増減をみるべきである。
事業所数増減
✓事業所数の増減は、サービスを提供するための基盤の増減を意味する。
✓需要が伸びている産業では、サービスを提供するための拠点(店舗や営業拠点)が必要なので、事業所が増加する。(新たな企業の登場もここに含まれる)
✓反対に、需要が減少している産業では、サービスを提供する必要が少なくなっているなかで、拠点を構えるのはコストにしかならないため、事業所は減少していく。(企業の倒産等もここに含まれる)
✓他には、店舗のような場所がないと提供できなかったサービスが、ネットを介してサービスを提供できるようになるという変化の結果、事業所(拠点)が減少する場合もある。
④売上高・従業員数・企業数分布(バブルチャート)
産業大分類別 売上高・従業員数・企業数(従業員数300万人以上)
✓従業者数・企業数が多い産業は売上高が大きい傾向にあるが、
「宿泊,飲食業」、「サービス業(他に分類されないもの)」といった産業は、外部環境影響が想定されるものの、規模(従業者・企業数)に対する
売上高が低く、生産性が低い産業であると想定される。
⇒要因としては、個人経営が他産業と比較して圧倒的に多く、
生産効率が悪いことが想定される。
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産業大分類別 売上高・従業員数・企業数(従業員数300万人未満)
✓「金融,保険業」は、従業者数・企業数も多くはない一方で、他の産業と比較して高い売上高を上げている。
✓ 情報通信事業は、一定の従業者数がいる中で、企業数の規模が他産業と比較して小さく、従業者が非効率に分散せずに組織に所属していることが想定される。
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⑤売上高・従業者数・企業数・事業所数ランキング
✓売上高・従業員数・企業数・事業所数のすべてにおいて、
「卸売業,小売業」が1位であり、日本人の生活に大きく関わる産業。
✓「金融業,保険業」については、売上順位は5位であるが、
従業員数・企業数・事業所数いずれも10位以下であり、少ないリソースで大きな売上を生み出すことができる産業であるといえる。
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✓売上
「卸売業,小売業」、「製造業」、「医療,福祉」が上位3位。
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✓企業数
「卸売業,小売業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「建設業」が上位3産業。
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✓従業者数
「卸売業,小売業」、「医療,福祉」、「製造業」が上位3位。
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✓事業所数
「卸売業,小売業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「医療,福祉」が上位3産業。
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⑥産業別経営の状況
✓全産業を合計すると、約368万の企業が存在しており、種別で見ると法人56.1%・個人経営43.9%と法人がやや多い。
✓一方、売上高の割合でみると法人98.5%、個人経営1.5%と大きく差があり、組織体が大きな売上(市場影響)を生み出す構造。
✓生産性が低いとされるサービス系(宿泊・飲食・サービス・娯楽・教育,学習)の産業は、個人経営が約70%を上回る状況。
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※スライド提供やデータ共有も行っております。
ご希望のある方は、ぜひご連絡ください。