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今見たい!「サムライ・アーティスト」流政之の野外彫刻作品【北海道・東京編】

こんちには、@ARTです。
今年生誕100年を迎える彫刻家、流政之はご存知でしょうか?彫刻、作庭と多彩な活動を行い、膨大な作品を各地に残しました。その作品は、実は誰もが一度は目にしたことがあるのではないかと思います。
そんな流政之は、幼少期からの波瀾万丈な人生を経て、数多くの作品を残してきました。その人生と作品をご紹介したいと思います。

流政之のダイナミックな人生

流政之は、1923年2月14日長崎に生まれます。幼少期に東京で暮らすも、13歳から京都で暮らします。
父親は現在の立命館大学の創設者である、中川小十郎で、剣法を叩き込まれたといいます。後に、父が作った衣笠鍛刀所で作刀も学びます。
1943年に海軍予備学生となり、各地の基地を転々とし、ゼロ戦パイロットとして兵役を務めました。戦後は日本各地を放浪しながら、独学で彫刻を学び、単身アメリカへと渡ります。

スケールの大きい作品

生涯にわたり、膨大な数の作品を残した流政之。晩年まで暮らした、香川・高松のアトリエを改装した流政之美術館にある作品だけでも400点以上。さらに、全国・世界各地にスケールの大きい作品を残しています。
中でも代表的な作品は、1964年のニューヨーク世界博覧会で展示された壁画「ストーンクレージー」。こちらは、日本から2,500個、600tもの石を運び込み制作されたといいます。また、旧ニューヨーク世界貿易センターのシンボルとして制作された彫刻「雲の砦」は、約250トンの石を用いて制作されました。このように型破りに大きい作品を多く手掛けています。

独自のネーミングセンス

「映画神像」「うめちゃん」「ながれもん三度笠」「べっちゃないロック」「男のふしめ」等々、作品名だけでどんな作品なのだろう?と、見てみたくなるネーミングセンスに脱帽です。その土地や背景を込めた作品名からも作者の思いを感じ取ることができます。
それでは、そんな流政之の一部作品をご紹介します。

【有楽町】流政之 / 映画神像 “THE GOD OF CINEMA”

流政之 / 映画神像

日本アカデミー賞受賞者に贈られるトロフィーの原型の彫刻です。この「映画神像」を小型化したものが、トロフィーとして贈呈されています。毎年の授賞式には、会場まで運び込み設置しているといいます。
流は、1978年に日本アカデミー賞協会設立メンバーとなり、トロフィーのデザイン、設立に関わりました。「この映画祭を100年続くものに」という強い思いが込められています。

なお、同作品は、JRタワーアートプロジェクト「世界にひろがる北の庭」の一環として、札幌駅にも設置されています。
流政之 / 映画神像 “THE GOD OF CINEMA”

【神田】流政之 / 酒は涙

酒は涙

お茶の水駅前の複合ビルの裏手、オープンスペースに設置された作品です。まるで演歌のようなタイトルが印象的です。近くにはもう一点「肌合わせ」という作品もあります。
流政之 / 酒は涙

【霞ヶ関】叡智の微笑

流政之 / 叡智の微笑

霞ヶ関の特許庁前に設置された作品。巨大な球体を割ったようなかたちにひびの様に線が入った、何かが生み出された様なかたちです。新しいアイデアが生み出された瞬間なのでしょうか。この力強さに圧倒されます。
流政之 / 叡智の微笑

【札幌】SAKIMORI

流政之 / SAKIMORI

全国各地に設置されている流の代表作「サキモリ」です。胸に風穴の開いたひと形の抽象彫刻で、ふるさとを遠く離れて国の警備についた兵士をテーマに、人間の内臓を取り去って精神だけを残した像。作家自身の戦争体験をもとに、先人や戦争犠牲者のための鎮魂の意も込められています。
流政之 / SAKIMORI

【札幌】流政之 / なんもさストーブ

流政之 / なんもさストーブ

ホテルニューオータニイン札幌前に設置された作品です。「なんもさ」は北海道弁で「何でもないよ,どうってことないさ」の意味とのこと。煙突の部分には「明治元年十二月十五日 官許 蝦夷共和国 総裁 榎本 武揚」と記載されており、明治に榎本武揚が日本初の選挙で蝦夷共和国の成立を宣言したことを記念しているといいます。
流政之 / なんもさストーブ

【札幌】きのうの敵は あすの友 箱館解放1868年

きのうの敵は あすの友 箱館解放1868年

JR函館駅連絡通路に設置された、全長27mにおよぶ有田焼の陶板1165ピースによる作品です。1868年の「箱館解放」とは箱館戦争を指しており、高田屋嘉兵衛や土方歳三、青函連絡船、歴代駅舎などが描かれています。また題名は、有名な対句”きのうの敵はきょうの友”を「あすの友」に改めたものです。
ペリー、土方歳三、黒田清隆をはじめ函館の歴史に関わった数多くの人物が、函館駅の歴代駅舎の姿とともに描かれています。
流政之 / きのうの敵は あすの友 箱館解放1868年

全国にある流政之作品のうち東京と北海道の作品を紹介しました。ぜひ現地でその作品のダイナミックな作品を味わってみてください。機会があれば香川県の流スタジオにも訪れてみてはいかがでしょうか。

その他の作品はこちらをご覧ください。また流政之作品のデータをお持ちでしたら、ご連絡いただければ嬉しいです!
Public Art Database(β)

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