夢のはなし 本題

ここから読まなくても話は通じはしますが、最後に月の話が出ます。それは「前フリ」を読んだらわかるかと。


※昨夜見た夢の話です



夢の中で私は世間知らずな新人の遊女だった

これは読んでいる漫画の影響を受け過ぎている

十億のアレ(宇月あい) 主人公はいきなり身売りされ作法を知らない遊女


この日は馴染みの男性が初めて私と一晩泊まる日で「この日だけは、自分のために一晩くれて欲しい」と前々から店にそう伝え、予約をしていたらしい日であった。

名前は、紫翠(しすい)明さんとおっしゃるそうだ。

明さんの風貌は…これまた私が好きな漫画の優しい眼鏡マッチョの大島さんと、アルコ&ピースの平子さんを、足して2で割ったような外見と体つきであった。

私たちが恋する理由(ma2 )この表紙の彼が大島さんである
アルピー平子さんは元々すごく好きですすみません


明さんはとても気遣いができて優しい方で、吉原遊びには慣れていないウブな方であった。初めての泊まりの日、なぜなのかはわからなかったが、この方との泊まりならいいかと私は普通に気を許していた。


こんにちは、と私の部屋に通った明さんは笑顔で話し始めたが、すぐにお店からプレゼントを渡された。

「紫翠様、お誕生日おめでとうございます。こちら、お預かりしていたファンの方々からの贈り物でございます。」

ありがとうございます、と照れた様子で受け取った明さんの手にあったのは、彼の仕事中の姿の写真が貼られた手紙などが何枚もあるものであった。

その姿は、まさかの野球選手であった。ややグレーがかった生地に、青い文字。最近ニュースで連日見かけていたユニフォームである。

ドジャースかーーーーい


私は今日が明さんの誕生日であることも、明さんが野球選手であることも、どちらも知らなかったのである。(もちろんお店は知っていた。)筋肉質な体にも納得がいった。

こんなすごい方が、ご自分の誕生日に私と一晩いたいと申し出てくれて、照れた様子で自分の目の前で話をしていることに、私は胸が締め付けられそうなくらいにときめいてしまった。なんて可愛らしくて、愛おしいんだろうと。

おそらく私の目はうるうるしていただろう、目が合うたびに明さんも堪えきれぬ切なそうな目になる。あといくつの会話をしたら、あと何分経ったら、何が合図できっかけで私たちは男女の仲になるのだろう?交わることが確定している中での、それをより盛り上げるかのような前座のようなやり取りの会話は、楽しくて仕方がなかった。


だけど、こんなに優しくて逞しくて有名な野球選手だとしたら、とてもモテるだろう。交わった末にいつまでも私のことを好きでいてくれるだろうか?手に入れた後に、賢者タイムになったらもう来なくなってしまうのではないか?遊女であるならばそこは通いつめさせるテクニックを持っているはずなのに、途端に一人の女になってしまった私は不安になってしまった。その不安がより相手にとっては可愛らしくて仕方がないようだった。(ところでなぜ私は野球選手ってことも知らなかったのか???その辺は夢なのでわからない。)

この胸の高鳴りを確かめさせるために、相手の手のひらをその胸に吸い寄せたらいいじゃないか?またはソファで話す上に対面でまたがって、胸にその顔をうずめさせたらいいじゃないか?夢を見ている本体のギャラリーな私はあれやこれやを思いながら眺め、そして体験しているのであるが、どうにもおっさんくさくて仕方ない。しかしまぁ、どの方向にも進まない。


わかっていた。私は自分が、相手の肩書きを知ったことによって自らの胸が高揚し始めてしまったこと、それが悲しかった。つい先ほどまで「優しくて話やすい明さん」と一晩共にすることに、純粋に安堵していたのに。それがたった今「有名な野球選手でモテる明さん」と一晩共にしてまたその後まで魅了させられるか?という打算的な不安に変わってしまったから。

明さんは、こんな私が好きだったんじゃないだろう。相手がどうあれ、目の前の瞬間を楽しくにこやかに過ごしてくれる私だから、今夜一緒にいたいと言ってくれたんだろう。だから自分の身分も明かさなかったんだろう。聞いていないけれど、なんだかそんな気がしてしまう。

この後は遅かれ早かれ交わることになる、しかしその後はお互いに悲しいことになる、それがもう見える。だから私はどんな手も使えず、触れられない。触れて欲しいけれど触れてほしくない、そんな状態になってしまっている。


相手の身分によって相手への気持ちが増すなんて、人間的だなぁ…コントロールできない意識の切なさを感じて、私はもう一回寝ることにした。目を開けたら、4:40くらいだった。


寝る前に見た月が明さんで、アメーバや豚の雲が私のようだと、今になって思った。



あとがき

それにしても「夢とは記憶や情報の整頓」だとも言われているが、私は日頃自分の夢を見て本当にそう思う。漫画2冊、ドジャースの大谷くん。私の頭は必死に記憶の整頓をしていたんだろう。笑

脳が記憶の整頓をしている中、夢のギャラリーとして私が通り過ぎてはその整頓風景をガン見してしまっているのか。

はたまた、ギャラリーとしてガン見することをわかっていて、脳が「今宵の整頓すべき記憶や情報を作って、即席的に気づきや人生のヒントを与えている」のか。

前者だとしたら、いつも半端な状態を見ちゃってごめんなさいの気分。後者だとしたら雑すぎて面白いが、割と効果はあるので今後も有効ですよとお伝えしたい。

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