【裁判員辞退率63%】裁判に国民感覚を反映する方法を考える
裁判員制度が始まってから、15年が経過しました。
共同通信の記事によると、その間裁判員になることを辞退した人の割合は63%に登るそうです。
今回は裁判員制度を振り返りつつ、どのように国民感覚を裁判に反映していくべきかを考えます。
裁判員制度とは
裁判員制度は平成21年に国民が直接裁判に関わる制度としてスタートしました。
それまでの裁判は、裁判官や検察、弁護士といった法律の専門家だけで行われるため、正確である反面、国民にとって分かりにくいことが問題となっていました。
そこで、国民感覚を裁判に取り入れるために、専門家の「裁判官」だけではなく、一般市民から選ばれた「裁判員」が参加できるようにしたのです。
誰が選ばれるのか
詳しくは省きますが、裁判員がどのように選ばれるか説明しておきます。
まずは、各地方の18歳以上(選挙権を持っている人)の人の中から選挙管理員会がくじを引いて選びます。
選ばれた人に調査票を送り、明らかに裁判員として活動できない事情がないか調査されます。
ここまでをクリアすると、裁判員名簿に載り、正式に裁判員候補となります。
この後は事件ごとにくじを引いて裁判員名簿から、実際に裁判員として活動してもらう人を選びます。
このときに公平な裁判ができるか人なのかどうか、辞退希望かどうかを質問され、問題なければ裁判員として裁判に参加します。
なぜ半数以上も辞退するのか
これまでにあった辞退する理由の中で最も多いのは仕事上の理由だそうです。
裁判に参加するために休暇をとることを法律で認められているとはいえ、実際には従業員を休ませることが難しい企業が多いのかもしれません。
たとえば、日テレニュースの記事によれば、裁判員として、法廷での審理~刑を話し合う評議にかかる時間は17日ほどになっているようです。
現実問題として、17日間も職場から離れられる方は少ないのではないでしょうか。
さらに、17日もかかるということは、裁判員個人の負担の大きさも原因であると想像できます。
もっと気軽に裁判員になれるように
裁判員制度は、裁判に国民感覚を反映させることが狙いです。
それなのに半数以上が辞退する現実を踏まえると、国民の半数の意見は裁判に反映されていないとも言えます。
そこで、辞退率を下げ、より国民感覚を反映するために裁判員個人の負担を減らす工夫が求められます。
裁判員の参加を前半部分と後半部分に分ける
日数を短縮し、裁判員の負担を軽減するためには、裁判員の参加を前半と後半に分けることが考えられます。
裁判員は裁判に参加し、有罪か無罪か、有罪なら刑の重さまで話し合います。
この話し合いを短縮するために、前半部分の裁判員は刑の重さには関わらず、有罪か無罪かの判断にだけ関与するというのはどうでしょうか。
刑の重さに国民感覚を反映させる必要がないならこれまでです。
しかし、現状は刑の重さにも国民感覚が反映されるようになっています。
この部分を担保しつつ、負担も軽減するため有罪か無罪か決定した裁判員とは別の後半部分の裁判員が刑の重さについての話し合いに参加します。
つまり、公判と有罪無罪を決める前半部分に参加する裁判員と、刑の重さを決める後半部分に参加する裁判員と別にするということですね。
誰がどっちを務めるかは、裁判員の選出と同じくくじ引きで公平に決めればいいです。
こうすることで国民感覚を反映するという制度の趣旨は残したまま、裁判員一人ひとりの負担を軽減できます。
制度は絶えず見直しが必要
今回は一つの案を提示しましたが、他にも凶悪な犯罪の裁判に参加し、精神的に病んでしまう場合もあると思います。そういったことも防ぐ仕組みが必要です。
結局すべての制度はそれが実現したかった理想を踏まえ、常に見直しをしていく必要があるということにつきると思います。
15年という節目だから取り上げるメディアも多いですが、それでは社会のアップデートが遅くなってしまいます。
法という社会において重要なルールに関わる精度なだけに、私達国民が関心を持ち続けたいですね。