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US-CPI(米国消費者物価指数) ことはじめ

写真は蚊柱。書籍、物価とは何か[0] によれば物価は蚊柱に喩えられるらしい。蚊柱の動きは、蚊柱の内部でのせわしない上下の動きと、蚊柱の集団としての動きから構成される。

Overview

米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)が公表する物価の指数。
毎月に前月分のデータを公表(EST08:30, 毎月15日手前の週のいずれかの曜日)。
CPI-x 前年比/前月比 x コア/全品目 がヘッドラインとなる数字。
品目/地域ごとに1984 ~ 1986の値を100として%変化を計測。
コア := 食品とエネルギーを除外。
CPI-W … Wage earners(労働者) / CPI-U … All Urban Consumers(全消費者)
物価は季節性*を多分に含むためインフレ判断には前年比の数字が参照される。
データは本家BLS[1]とFred[2]から取得可能.

Method

物価指数計測の最も簡便なロジックは下記。他国でもベースは同様のロジックのはず。(US-CPIではこれを調整・拡張したものを用いている。)

ユニバース$${I}$$に属する商品$${i}$$が$${t_0}$$, $${t_1}$$時点で売られていたとする。
$${ p_i := price }$$, $${q_i := quantity}$$ とする。

$$
CPI_i(t_1) =   \frac{ \sum_{i \in I} p_i(t_1)q_i(t_0) } {\sum_{i \in I} p_i(t_0)q_i(t_0)}
$$

分母の$${q_i(t_0)}$$に注意

(最も詳細なメソッドはhandbook of methods[6]にまとまっている。)

Report content

US-BLS[1]のページに毎月レポートが掲載される(PDF, HTML)
Summary / Food / Energy /  Food&Energy以外 / Not seasonally adjusted / Technical note の6節からなるレポート。 年末は Year in review節が追加される。Reportの最後のAppendix部分にCPIの具体的な値の表が列挙される。
(レポートアーカイブ: https://www.bls.gov/bls/news-release/cpi.htm )

各節の記述は下記.

  • Summary
    まず前年比および季節調整済み前月比の全品目CPI-Uの値を述べる。
    前月比(all)、前月比(コア)、前年比(all)それぞれの主要な変動要因を列挙する。

  • Food, Energy, Less Food&Energy
    それぞれ前月比指数の値と、それの変動要因の主要なものを列挙する。

  • Not seasonality adjusted
    前年比 CPI-W, CPI-Uの値を述べる.

  • Technical Note
    計測に関する注意事項. 下記Method章に主な事項を記載.

  • Tables (2022.10ベースでは下記7tables). 

    • 1. CPI-U by category (品目)

    • 2. CPI-U by detail category (品目詳細)

    • 3. CPI-U by special aggregate ("食品以外"など)

    • 4. CPI-U all item by area

    • 5. CPI-U, C-CPI-U 1M change, 1Y-change timeseries

    • 6. CPI-U 1M by category, analysisTable
      ("stddev"などの付加情報がついている。)

    • 7. CPI-U 1Y by category, analysisTable

Technical Notes

以下、レポートの数字を読む際に留意すべき"Technical Note" 節の記載をDeepLにかけ適宜引用。

Brief explanation of CPI

CPIは、都市部の全消費者都市部の賃金労働者・事務職それぞれの消費パターンを反映。都市部の消費者グループは米国の総人口の約93%。CPIに含まれないのは、都市部以外の農村部に住む人々、農家、軍隊、刑務所や精神病院などの施設にいる人々の消費。

https://www.bls.gov/news.release/pdf/cpi.pdf

全都市消費者の消費者インフレ率は、全都市消費者物価指数(CPI-U)と全都市消費者連鎖価格指数(C-CPI-U)という2つの指数で測定される。CPI-Wは、CPI-Uの定義に含まれる世帯のうち、収入の半分以上が事務職や賃金労働者であること、また、世帯員の少なくとも1人が過去12ヶ月間に37週間以上雇用されていることの2つの条件を満たす世帯の支出に基づいて算出される。CPI-Wは米国人口の約29%。CPI-Uのサブセット。

https://www.bls.gov/news.release/pdf/cpi.pdf

※ "C-CPI" は Chain-weighted CPIの略。
Chain-weighted CPI := ある周期ごとに計測し、2時点間の変化を描く時点での変化の積として計測する方式(こちらが一般的)
※対して、Fixed CPI := 2時点間のみで計測して変化を計測する方式。

CPIは、食料、衣料、住居、燃料、交通、医師・歯科医師のサービス、医薬品、その他人々が日常生活のために購入する財・サービスの価格に基づいている。毎月、全国75の都市部で、約6,000の住宅約22,000の小売店から価格を徴収。商品の購入や使用に直接関連するすべての税金が指数に含まれています燃料とその他いくつかの品目の価格は、75カ所すべてで毎月取得される。その他のほとんどの商品およびサービスの価格は、3大地域では毎月、その他の地域では隔月に収集。
指数の算出にあたっては価格変動を、支出における重要度を表す重みを用いて集計。その後、各地域のデータを統合し、米国の都市平均を算出します。CPI-UとCPI-Wでは、都市の規模別、国内の地域別、地域と人口規模のクロス分類、および23の特定地域別の指数も公表。地域別の指数は、都市間の物価水準の差を測定するものではなく基準期間からの物価の平均的な変化を測定するものである。C-CPI-Uについては、全国レベルでのみデータが発行。CPI-UとCPI-Wは発表時点で確定値ですが、C-CPI-Uは速報値で発表され、その後3四半期ごとに改定
この指数は、設計された基準日からの物価変動を測定するものです。CPI-UとCPI-Wのほとんどは、1982-84年の100を基準。C-CPI-Uの基準日は、1999年12月=100。例えば、基準ベースから7%上昇した場合、107.000。

https://www.bls.gov/news.release/pdf/cpi.pdf

Sampling error in CPI

例えば"チョコレートの値段"をとってみても、当然ながら全ての小売店での値を観測しているわけではなく、サンプリングの上で推計している。つまり統計的な誤差を含むことに注意。

Calculating Index Changes

前月比や前年比の値は指数の%変化で表されることに注意. 
e.g. Year1: 110 -> Year2: 128 ならば 16.4%の変化

Use of Seasonally Adjusted and Unadjusted 

seasonality

季節性が認められた品目の季節調整は"X-ARIMA"モデルを用いて行われる。係数更新に伴い季節調整データも事後的に更新されるので注意

CPIには調整前と季節調整後のデータがあります。季節調整済データは、X-13ARIMA-SEATS季節調整法によって導き出された季節係数を用いて計算されています。これらの係数は毎年2月に更新され、新しい係数は過去5年間の季節調整済みデータの修正に使用されます。係数はUS-BLSから入手可能。
天候、生産サイクル、モデルチェンジ、休日、セールなど、毎年ほぼ同じ時期に起こる変化の影響を排除できるため、経済の短期的な価格動向を分析するには、通常、季節調整済みの変動が好まれます。調整前データは、実際に支払う価格に関心を持つ消費者が最も関心を持つ。調整前データは、エスカレーションの目的でも広く使われています。例えば、多くの団体交渉契約や年金制度では、季節変動による調整前の消費者物価指数に報酬変動を結びつけている。

毎年BLSのエコノミストはある系列が「季節調整なし」から「季節調整あり」に変更すべきか、またはその逆を行うべきかを決定します。

https://www.bls.gov/news.release/pdf/cpi.pdf

intervention

突発変動(e.g.2008 GFC)の影響を弱めるために"IASA"により調整されるケースもある。

CPIには調整前と季節調整後のデータがあります。季節調整済データは、X-13ARIMA-SEATS季節調整法によって導き出された季節係数を用いて計算されています。これらの係数は毎年2月に更新され、新しい係数は過去5年間の季節調整済みデータの修正に使用されます。係数はUS-BLSから入手可能。
天候、生産サイクル、モデルチェンジ、休日、セールなど、毎年ほぼ同じ時期に起こる変化の影響を排除できるため、経済の短期的な価格動向を分析するには、通常、季節調整済みの変動が好まれます。調整前データは、実際に支払う価格に関心を持つ消費者が最も関心を持つ。調整前データは、エスカレーションの目的でも広く使われています。例えば、多くの団体交渉契約や年金制度では、季節変動による調整前の消費者物価指数に報酬変動を結びつけている

https://www.bls.gov/news.release/pdf/cpi.pdf

Method/Data

handbook of methodsより適宜追記。

Category

8 major groups, 243 items

  1. Food and beverages (breakfast cereal, milk, coffee, chicken, wine, full service meals, snacks)

  2. Housing (rent of primary residence, owners' equivalent rent, utilities, bedroom furniture)

  3. Apparel (men's shirts and sweaters, women's dresses, baby clothes, shoes, jewelry)

  4. Transportation (new vehicles, airline fares, gasoline, motor vehicle insurance)

  5. Medical care (prescription drugs, medical equipment and supplies, physicians' services, eyeglasses and eye care, hospital services)

  6. Recreation (televisions, toys, pets and pet products, sports equipment, park and museum admissions)

  7. Education and communication (college tuition, postage, telephone services, computer software and accessories)

  8. Other goods and services (tobacco and smoking products, haircuts and other personal services, funeral expenses) 

Area

4 geographic regions (West, Mid-West, South, North-East)
9 divisions (ニューイングランド、大西洋中部、北中部東部、北中部西部、大西洋南部、南中部東部、南中部西部、山岳部、太平洋部)
23 metropolitan areas (人口250万人以上 + アンカレッジ + ホノルル)
52 non-self-PSU (?)
23 + 52 = 75 PSUs
75 PSUs consolidated into 32 indexes areas.

季節性

TBA


[0] 物価とは何か

[1] US-BLS

[2] Fred

[3] Chain-weighted measure:

[4] Data取得

[5] Data取得-2

[6] handbook of methods