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瑣末な読書術


日本人の年間平均読書量は12、3冊
本を月に1冊も読まない人が6割だそうです。


藪から棒にこのようなことを言われても、「それがどうした」と思われるでしょう。
それは当然です。かく言う私もその一人なのです。
今この瞬間、私もスマホとにらめっこしているのですから読書をしている暇などありません。


しかし、読書をすることでこれまでの自分にとって未知の刺激や好奇心を生み出し、知識や教養を深めることが出来るだけではなく、想像力、語彙力、思考力が身につくなど様々な恩恵を受けられるとか、受けられないとか。
何より読書が趣味であるという人は、それだけでそこはかとなく知的で、人間の奥深さを感じさせるではありませんか。


それが人生において幸福をもたらすのかどうかはさておき、私が何を言いたいのかと申しますと、
近年、異常気象などと毎年のように申しますが、残暑厳しい昨今の日本では秋と呼ばれる季節を感じることは難しくなり、扇風機を回していた翌日にはストーブを出そうかと悩む有り様です。
現に今年も読書の秋は、儚くも終わりを告げようとしているのです。


「それがどうした」と思われるでしょうが、それも当然です。
読書習慣のない人にとっては、秋であろうと、独房に放り込まれようと本など読まないのです。
一方読書が好きな人にとっては、一年中読書の季節なのですから、仕方ありません。
しかし、私は儚いものに何やら惹かれ、何らかの衝動が湧き上がります。


読書の秋とは何も秋限定で読書に勤しめという意味ではなく、この過ごしやすい季節をきっかけに読書を始め、それを習慣にしましょうという裏テーマが隠されていることを私は理解しているのです。
娯楽の多様化やスマホ依存によって、本を読む人はこの先一層少なくなっていくことも予想できますゆえ。


そこで私は、読書の存続を懸けて、誰もが無理なく人生に読書の習慣を取り入れられるよう、意識低い系読書術の提案を試みたいと思うのです。


読書が苦手であったり、読みたい本は手元にあるけれども中々手が伸びないという人は、読書に対して何らかの負荷を感じているのではないかと思います。
その重さを取り払うために、私は一日1ページだけ本を読むことを提案したいのです。
1ページ読むのにかかる時間は1〜2分もあれば十分でしょう。
これならば、読書に対する苦手意識も、億劫な気持ちも相手にはなりません。
毎日、たった1ページだけです。
そうする事で一年で365ページ読むことができ、一般的な文学小説などの文庫本は一年で読み終えることができます。


「一年かけて本一冊?」などと嘲笑する人もいるかもしれませんが、気にする事などありません。
生涯これを続ければ、少なくとも数十冊の本が記憶と心の中に残るのですから。
年間読書100冊以上などと豪語している人もいますが、果たしてどれだけ自分のものになっているかなど分ったものではありません。
本当に読みたい本を1ページずつ丁寧に読めば、読み終えたあと必ず自分の中には、その本に対する思いが残るはずです。


もちろん、一日2ページになれば、3ページになれば、生涯に100冊以上の本が読めるはずです。
ですが、あまり無理は禁物です。
負荷を高めすぎれば、どこかで必ず意欲がなくなってしまいます。
読書が好きで、早くたくさん読むことを否定しているわけではありません。
これは意識低い系読書術なのです。
ゆっくりでも読書には変わりありません。
今一番読みたいと思う一冊を毎日1ページずつ読んでみる。いかがでしょうか?


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