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「今」「ここ」にたどり着くまで                    私が文章を書き始めた理由 ① 

わたしが文章を書き、
SNS発信を始めた理由は、
友達ががんになっていたことを知ったからだった。

長い話になる。

ある夏の暑い日、
薬だけもらう病院に行き、
会計までの時間に久しぶりに同級生に会った。

お互いアラフィフなので、
「あら、こんな所でー。」
「体にガタがきはじめる年だよねー」
なんて言って話していたのだが、
「実はがんだったのよ。」
と友達は話し始めた。

検診で胸に小さなしこりが見つかって、
初期の乳がんだったのだという。
「治療はしんどかったけど、
幸い本当に初期だったから、
すぐに仕事にも復帰できたんだー。」
と明るく言う彼女が
「やっぱり死ぬことが急に目の前に迫ってきた。
私、死ぬかもしれないと。
いつ死ぬか分からないから、
あなたも生きてるうちにやりたいことをやって、
会いたい人には会いに行かないとね。」

ショックを受けたと同時に、
頭の中にあったのに知らん顔していた
モヤモヤの存在に気づいた。

それからずっと、考えた。
散歩しながら、料理しながら、運転しながら。
本当に自分がやりたいことって、なんだろう?
本当に会いたい人って誰だろう?

その頃、
長女が不登校になっていたこともあって、
家の中も気持ちもかなりすさんでいた。
将来のことや楽しいこと、
夢や希望を考える気持ちが
小さくなっていたことにも気づかされた。

いつも徘徊している本屋さんで
大好きなインテリア雑誌を手に取ったとき、
「あ、私家建ててないわ。」と急に思った。
転勤や家の事情で
私には建てられないと思い込んでいたが、
本当にそうなんだろうか?
今なら建てられるんじゃないだろうか?
自分の力で。
インテリアや家のことが大好きな私が
死ぬまでにやりたいこと。
本当はやりたかったこと。
「自分の家をつくる」

そしたら、急に目の前が明るくなってきて、
まずは、いろんなことを知ろうと思い立った。

ネットで情報を集め、本を読み、
家を建てた友達に話を聞き、
インスタの家アカウントをたくさん
フォローしてみたりした。
お金もことも心配だから、
ファイナンシャルプランナーに相談もした。
その中で、音声配信VOICY
と言うモノがあることも知り、
登録をして聞き始めた。
工務店の人がやっているチャンネルを聞きまくり、
C値とかU値とかそとん壁とかガルバニウムとか。
専門用語ばかり覚えていった。

そのうち、音声配信そのものにもはまった。
文筆家の小川奈緒さんのチャンネル
「家が好きになるラジオ」が始まって、
毎朝聞くようになり、気づけばそれが
日々の一つの楽しみになっていった。

どんどん情報をインプットする時間は楽しかった。

家建てた先輩から、
実際に建てたい土地で散歩した方がいい。
風や匂いはネットには載ってないから。
と言われ、いろんな所も散歩して回った。

ある冬の日、グルグル散歩していて、
ここ歩いたことないなーと思う
川縁の昔ながらの住宅街を見つけた。
薄曇っていたが、暖かく風も穏やかで、
こういうのを幸せって言うんだよなー。
なんて感じていた。

しばらく歩くと、河原に出た。
その時、雲間から光がパーッと差してきて、
なんだか懐かしいような、
導かれてここに来たような
なんとも言えない気持ちになった。

「何だー、この気持ちいい場所は-。」
川沿いには家が並んでいて、
一番奥が原っぱになっている。

ここは?空き地?
なんか、ここに気になる。
住んだらどんな気持ちなんだろう?

その日はそれで終わったが、
散歩ではいつもそこに行くようになった。

 その②に続く。


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