憧れの眼鏡
アラフィフの私。
だんだん目が見えにくくなってきた。
自慢じゃないが、
私は勉強があまり好きでなかった。
それもあってか、昔からものすごく目がいい。
イヤ、良かった。(過去形)
ずっと左右の視力1.5を、
40代真ん中まで安定のキープ。
目が小さくて馬鹿にされることはあっても、
(起きてるのに、
「起きてー、目を開けて。」とか。
起きとるっちゅうねん 怒)
生まれてこの方、見えなくて困った経験が無い。
眼鏡を買ったり、コンタクトのケアをしたり?
(知らんけど)
視力が弱い人は大変そうだなあ。と思っていた。
でもちょっとおしゃれ眼鏡など素敵だから、
ちょっとだけうらやましくて
大きくなったら(年を取ったら)
格好いいのをかけたいと密かに憧れていた。
その私が初めて視界がぼんやりとしている。
先日も
「お母さん、とげが刺さった!見てー」
「近い、近い。」
ん?近い?
近くだけでなく、遠くも、見えない。
こ、これが老眼?(なぜかちょっとウキウキ。)
ちょうど人間ドックのタイミングで
検査してもらった。
結果。0.6と0.4。なぬー。
思っていたよりずいぶん悪いじゃないか。
(ついでに体重も思ったより増えているが、
そこは今関係なーい)
疲れ目な気もするが、ちょっと心配になった。
先生からも
「0.3以上なかったら、運転免許条件着くよ。」
と言われ、これは病院に行かねばと、
娘の眼鏡の調整も兼ねて開業眼科医へ行ってみた。
詳しく検査してもらう。
右。
よく見える。1.2。
やはり前回は疲れていたか?
左。
見えぬ。全てが無限大∞に見える。0.3。
なぬー。更に下がっている。焦る。
看護師さんが、これはどうですか?と
レンズを入れてくれる。
なんと無限大∞がなくなった。
○の欠けがはっきりと見える。
おお、これが眼鏡の力か?
更に入れ替える。
もっとくっきり見える。
「とてもよく見えます。」
「乱視ですね」
乱視?聞いたことはある。
とうとう眼鏡デビューか??
お医者さんは「見えなくて困りますか?」
と聞く。
「夕方になると見えにくくなります。」
「それはみんなですよ。」
そうなのか?
「ドライアイなので、目薬入りますか?」
「家にあります。」
「では、おしまい。」
おしまい?
眼鏡は処方されなかった。
娘の新しい眼鏡を買いに行く。
なんか悔しくて、
新しいサングラスを買うことにした。
憧れの眼鏡。
ひとまずお預けだ。
きっとそのうちどうやったって必要になるだろう。
その時が来たら、
意地悪い先生がかけそうな
キュッとつり上がった眼鏡に
チェーンをつけてかっこよく決めるんだ。
そんな楽しみが先にあったっていいじゃないか。
老化じゃないんだ。
「物がよく見えない」という新しい力なのだ。
よく見えないけど、ぼんやりと見るという力。
新しい力が付いたら、次のステージに行ける。
新しい私の扉が開くと信じている。
できるようになるだけが、成長ではないのだ。