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紅白の鼻

写真は、2025年の初日の出。
毎年撮っているが、あまり変わり映えしない。
しかし、すこしずれるとタワマンが建っているし、逆側は、年々高層ビルが増えている。
そんなに上へ上へと伸ばして、入る人や企業があるのだろうかと不思議に思う。
人口は減っているのではないの?

とはいえ、初日に限らず太陽が地上に姿を現す瞬間というのは、やはりどこか神秘的で厳かに感じる。
行列して秒単位で手を合わせる神社仏閣よりも、うんと真剣に祈ってしまう。
健康と安全と、それから平和。

大みそかは最後の1時間くらい紅白にチャンネルを合わせて、惹かれるところだけを見た。
何より「蛍の光」がラストになるかを確認したいという気持ちが強かった。
やっぱり、去年から変わったままだったので、気分が盛り上がらない。
男女別に分けて勝敗をつけて、それを最後まで引っ張るなんて、もう時代遅れだと思うのだが。

昔々、ちょっとした仲良しグループ(クラスの座席が近かったというだけ)の女の子が、上級生に「かっこいい男子がいる」と騒いでいた。
どんな人かと尋ねると、「アルフィーの高見沢さんみたいな人」という答え。
当時の私は、メンバー個々の名前と顔の区別がついていなかった。
音楽はほぼラジオで聴いていたから。

私は演劇部に入っていて、脚本を担当していた。
部長は上級生の男子で、監督兼演出である。
私はこの人とよく意見がぶつかった。
私の中では、書くときにすでにイメージが出来上がってるので、それとかけ離れた演技や演出をされると、どうにもモヤモヤする。
それで、絶対にこうあるべきとは言わないが、一応私の意見として部長に述べることがあった。
できるだけ波風の立たないよう心掛けていた、つもり。

しかし、部長は議論好きだったふうで、私の異見にやたら突っ込む。
面倒くさい奴だ。
放課後、部活動に使う教室で議論しているのを見た人もいて、仲がいいと勘違いをしてしまった。
で、噂になった。
私は、ほかに密かに好きな男子がいたので迷惑千万である。
もしかしたら部長もそうだったかもしれない。

噂を否定したい気持ちもあった。
それで仲良しの友人には過剰に悪口を盛りたい気分になってしまった。
「どんな人なの?」と問われて、私が答えたのは
「付け鼻みたいな人よ」

その人が、友人いわく「高見沢さん似のかっこいい人」だと知ったとき、私は仰天した。
以来、高見沢さんには何の悪意もないながら(むしろアルフィーの音楽のファンである)、つい「鼻」を見てしまう。

紅白でも、彼の鼻を見ながら、変わらぬ声に酔いしれた。


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風待ち
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