見出し画像

黄昏

一面にシアンを零したようだった空に、裾野からオレンジが、紫が、どんどん侵食していく。

気がつけば釣瓶落とし。

道行く人たちが亡霊のように輪郭を失っていく。
知っている人も知らない人も平等に溶け込める魔法の時間。

生者も死者も混ざり合って、星が瞬く間でのかくれんぼ。


◆黄昏(たそがれ)…夕暮れの薄明の時間のこと
「誰そ彼」という言葉が語源。あの人は誰だろうか、と顔が見分けられなくなる暗さ。
ちなみに明け方の薄明は「彼は誰」、あれは誰々だ、と見分けられる明るさ。「たそがれ時」に対して「かはたれ時」と言います。
黄昏はどこか重く心が揺らぐのに対し、かはたれは爽やかで明るい音の響きに感じます。これから暗くなる、明るくなるというその予感のせいでしょうか。
語源の美しい言葉たちです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?