夜直
1Kのこの部屋に、これでもかと闇が立ち込める。
どろりとして、溺れて溺れて沈んでいく。
私は眠りにつけなくて、寝返りばかりを繰り返す。
祈りのように吐き出す息は、言葉にならない想いをのせる。
「あなたに、逢いたい」
窓の外は薄墨色。
この部屋は、闇のまま。
◆夜直(よたた)…一晩中、夜通し
「好きな人を想って眠れない」そんな経験のある方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。
思い出してどきどきする。ひたすら不安に苛まれる。ただ恋しくて、逢いたい。
ぐるぐる考えて、気がついたら夜が明ける。外は明るいのに、自分の心は恋の闇のまま。
今回はそんなお話にしてみました。
あなたを想う闇ならば、このまま明けずにいてほしい。そんなふうにも思ってしまう、夜です。
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