たゆたう
あいつのことが好きかもしれない。
そう気付いたのはいつのことだっただろう。
なんとなく目で追ってしまう、なんとなく声を耳でつかまえてしまう。
いやいや、ただ仲が良いだけだって。
頬杖をついて眺める校庭の景色は、どこかぼんやり滲んでいる。
やっぱり、好き、なのかな。
滲んだ景色の中で、あいつだけ極彩色に見える。
いやいや、まさかね。
◆揺蕩う(たゆたう)…ゆらゆらと揺れる様子。決めかねて心があれこれと迷う様子。
今回は好きかもしれないけど認めたくない女の子を主人公にしました。
恋というのはある日突然落ちるものでもありますが、知らぬ間に近寄ってくるものでもあり、気が付いたらこんなにも心が染まっていた、なんてこともあります。
好きと認めてしまったら今までと関係が変わってしまう、だから好きと認めてしまうのが怖い…。そうやってたゆたう気持ちは鬱陶しいようでいて、心地良いような部分もあり。さながら波に揺られるようです。
たゆたう先は、どこに行き着くのでしょうか。
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