見出し画像

サボるプロ、卒業します

私、今年、人生初のプロ吹奏楽団で演奏しました。


学生時代に憧れた、あの人たちと一緒に。なんなら私の師匠もいる。
まさかと思うでしょう?リハーサル前日に怖くて泣きました。


ここ数年、省エネで生きてきた。いや、省エネって言うと聞こえがいいけど、正直に言うと「サボるプロ」だった。

妊娠出産を経て、効率よくエネルギーを使う術を身につけたんです!っていうと、デキる女っぽいけど、真相はこうだ。


「まぁこんなもんでいいだろう」


それだけで日々を乗り切る術を極めた私。「まぁこんなもんで」の才能だけで、必要最低限のパワーでそれなりの演奏をしてきた。(つもりだった。)


でも、師匠の前でそれは通用しない。いや、やったらきっと怒られる。いや、怒られなくても自分が許せない。

だから私は、サボるプロを休業し、練習を始めた。

普段の私は、複数の曲をざっと眺めて、難しそうな部分だけ抜き取ってさらさらっと練習して、脳内で「イメトレは完璧」とかやって満足している。でも今回は、全然違う。1曲に何時間もかけた。


そうすると不思議なことに、音や楽曲の解像度が爆上がり。
そしてその瞬間、恐ろしいことに気づいてしまう。


「私、今めちゃくちゃヘタクソじゃない?」


やばい。本番2週間前。練習時間を急ピッチで増やす。毎日4時間。いや5時間。それでも指も舌も腹筋も耳も、全部サボってる。

指は上がるのが遅くて音がぬるい、オクターブキー離すたびに雑音が入るし、タンギングは遅い。音圧がキープできていない。なんなら、そういう欠点を聞き逃してた自分の耳…!!!!!


本番2週間前から猛特訓した私が、リハーサルに挑む。
会場にいたのは、日々これを当たり前にやっている人たち。360度美しい音が聴こえる。師匠に至っては、宝石?音の宝石が降り注いでいた。


なんでこんなにうまいんだろう?って思うよね。いやでも答えは分かっている。


「良い音で、良い音程で、良いリズム感で吹く。それだけ。」


それだけって言うな。それが一番難しいんだよ!!!

本番が終わって、耳が肥えた。基礎練習の大切さが骨身に染みた。そして、演奏が、練習が楽しくなった。

カルテットのメンバーに自分がやってる練習方法を見せびらかしたり、一緒にやらせたり。そんな時間が、めちゃくちゃ楽しい。


省エネで吹いていたころは、何でも「まぁこんなもんでいいだろう」と思ってた。でも、今ならわかる。
サボるプロのやり方では、音楽の楽しさを味わいつくせない。


サボるプロ、卒業します。


これからは、良い音で、良い音程で、良いリズム感で、それだけ!



いいなと思ったら応援しよう!