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|dialogue #02-1|博多あん・あんリーダー会(前編)

デジタル版となった「asumin note」の第2弾。今回は「自助・共助」を基本理念に、地域に密着した災害への「備え」や「気づき」を伝える防災啓発活動を行っている博多あん・あんリーダー会の因幡那水(いなばなみ)会長にお話を伺いました。(この記事は、2023年12月に取材したものです)


01 代表、因幡さんについて

いつから団体の会長をされているんですか?

2023 年5月の総会のタイミングからです。前会長の小森さんの就任期間が、10 年以上でした。その次の会長就任です。

世代交代して非常に若返った印象です。なぜ引き受けようと思われたんですか?

私を推薦していただいたのは、世代交代という点と、女性のリーダーもいいのではないかということで、声が掛かったのだと思います。
3年くらい前からお話はありましたが、私自身は13 期生(前任の小森さんは1期生)で団体のことを最初から知っているわけでもなく、長年しっかりと活動されている方もたくさんいる中で、本当に自分に務まるのかと思い、躊躇していました。専業主婦であり、防災についてはまだまだ勉強中ですので、知識が多くあるわけではありません。ただ、同期の仲間といつも明るく楽しく活動していたので、その様子を見てなんとなく期待してくださったのではないかと。(笑)
また、私が防災士になろうと思ったきっかけは、中学三年生の娘の存在が大きいです。娘は重い障がいを持っていて、話すことや自分で移動することができません。生活の全ての面で支援が必要な全介助ですが、娘のペースで日々楽しく元気に過ごしています。娘が障がいを持って生まれたことがきっかけとなって、娘のように支援が必要な方は、災害時や非常時にどうやって支援されるのだろうと考えるようになりました。そんなときに防災士の存在を知り、取り組んでみたいと思うようになりました。
もう一つは、我が家が消防一家だということです。夫、父親、祖父が消防士で、妹の夫も消防士です。そのようなこともあり、私は普段から「防災」を身近に感じていました。

博多あん・あんリーダー会のオレンジのユニフォームを身に纏う因幡さん

02 博多あん・あんリーダー会について

「博多あん・あんリーダー会」というのは、防災士さんの集まりということですか?

福岡市で防災士の資格を持っている方の集まり、と言えます。元はというと「博多あん・あん塾」という福岡市が主催している防災士養成講座がきっかけです。平成17 年5 月から毎年開講していて、複数回の講座に参加し防災について学びます。この講座の開催期間は、以前は半年間程度と長期間でした。最近ではコロナの影響もあり期間は短縮されてましたが、開催期間中の毎週末に講座が行われています。自然災害や防災全般の講座があるのですが、基本的には福岡市内で活動する防災士を養成するのが目的なので、福岡市の防災の取り組みについて学ぶ講座もあります。この「博多あん・あん塾」が始まった当初の狙いとしては、「福岡市に防災士を1000 人つくろう」という目的からだそうです。当時、福岡では地震が起きないだろうと思われていたこともあり、防災士に関する認知度も低かったのですが、ちょうどその年に「福岡県西方沖地震」が実際に起きたことで、一気に注目度が高まりました。会員の中には、西方沖地震発生を受けて、塾が開かれたと思っている方も多いのですが、偶然同じ年だったということです。「あん・あん塾」は行政主催で、「リーダー会」はその塾を卒業し、防災士の資格をとった方の中から、地域や職場の防災リーダーとして活動したいという有志が集まった任意団体です。
リーダー会のメンバーは年齢層も職業もバラエティー豊かで、普段関わることのできない人と関われるので、新鮮な気付きや発見も多く、地域防災について取り組む上ではとても良い環境だと思います。元々は、娘への心配から始まった防災活動でしたが、リーダー会を通じて、より多様な方面にも活動の範囲を広げていきたいです。また、支援やケアが必要な人達がいることを、あらゆるシーンで身近に感じてもらえたらと思っています。

「あん・あん塾」の卒業生は、みんな「あん・あんリーダー会」に加入するといった感じですか?

いいえ。あくまでも任意なので、加入しない方もいらっしゃいます。自分たちで勧誘に行っています。

03 博多あん・あんリーダー会の活動

「博多あん・あんリーダー会」の主な活動とはなんですか?

私たちの活動は、災害への「備え」や「気づき」を伝える防災啓発活動です。自助 (自らが自らを守る)と共助(地域住民の力による)で防災・減災をテーマに、公民館や小・中学校、大学などで防災講座や防災イベント、ワークショップなどを行っています。あん・あん塾の中でも、災害図上訓練(DIG)や避難所運営訓練(HUG)の講座を担当しています。
福岡市では、年々、雨の降り方が激しくなってきていることを受けて、豪雨災害への意識が高まっています。最近では、ハザードマップやマイタイムラインに関心を持たれる方も多いです。コロナの際には、感染症対策として避難所のマニュアルが大きく変わりましたし、日本防災士機構発行の教本の内容も、時代に合わせて変化しています。世の中の流れによって、防災の取り組みはどんどん変わっていくので、常にブラッシュアップし、学び続ける必要があります。

子ども達への防災活動から防災グッズの展示会まで幅広い活動を行っています。

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