@データ 「生物多様性」
生物多様性とはなんだろう
「生物多様性」という言葉を聞いたことはありますか?地球上には現在約3000万種の生き物が生息していると言われます。それらの生き物にはそれぞれ個性があり、直接、間接的に支え合って生きています。この生き物たちの豊かな個性とつながりを「生物多様性」と言います。
ちょっと難しいので、ミツバチやチョウなど花粉を媒介する生き物を例に考えてみましょう。ミツバチやチョウは蜜を求めて、花にとまります。そのときに体についたおしべの花粉が、めしべにこすりつけられることで、気づかぬうちに受粉します。そして花は実をつけ、イチジクやさくらんぼといった作物ができます。そうしてできたものを人や野生生物が食べる。このような命のつながりが「生物多様性」です。
生物多様性の危機
しかし現在、生物多様性は生き物の絶滅などによって失われつつあります。その主な要因は人間活動によるもので、IUCN(国際自然保護連合)の調査によると、現在絶滅の危機にある世界の動植物の種数は約44,000種以上といわれ、この数字は近年で何倍にも膨れ上がっています。このままでは生物多様性が失われ、私たちの生活でも、生物多様性から受けている恵みである食べ物がなくなったり、薬が作られなくなったりと、影響が出てくるかもしれません。
現在、生物多様性がさらされている「4つの危機」を一つずつ見ていきましょう。
【第1の危機「人間活動や開発による危機」】
植物や動物を鑑賞や商業利用のための乱獲・過剰な採取や埋め立てなどの開発によって生息環境を悪化・破壊するなど、人間活動が自然に与える負の影響は多大です。
【第2の危機「人間活動の縮小による危機」】
長年、農林業などの人間活動を通じて形成された里地里山(※)は、さまざまな生き物のすみかになっています。しかし、高齢化などで里地里山に人の手が入らなくなり、そこに住んでいた動植物が減少、あるいは絶滅する恐れがあります。
※里地里山:自然と都市との中間に位置する、農地、ため池、草原などの地域のこと
【第3の危機「人間により持ち込まれたものによる危機」】
野生生物の本来の移動能力を超えて、人間の活動によって国外や国内の他の地域から導入された外来種が、「特定外来生物」として地域固有の生物相や生態系に対する大きな脅威となっています。特定外来生物の種類は、ほ乳類から植物まで幅広く、福岡市内では、これまでにアライグマやアメリカザリガニ、オオクチバス(通称:ブラックバス)など、22種類が確認されています。また、殺虫剤や除草剤などを含む化学物質も、人間により持ち込まれた危機であり、生態系への影響を指摘されているものがあるようです。
【第4の危機気候変動による危機】
地球温暖化は国境を越えた大きな課題です。平均気温が1.5~2.5℃上がると、氷が溶けだす時期が早まったり、海面温度が上昇したりすることによって、動植物の20~30%は絶滅のリスクが高まると言われています。
福岡市の取り組み
生物の多様性を守るために、福岡市で行われている取り組みを3つ紹介します。
○ふくおかレンジャーの育成
ふくおかレンジャーとは、遊びや体験を通じて、生きものや自然の大切さ、楽しみ方を伝える人のことです。地域の方々を対象とした講座を実施し、楽しみながら自然に触れることができる自然観察会等を開催しています。小学校の校歌に出てくる自然・名所めぐりや、どんぐり、落葉を使った工作などを行っています。
○里海保全活動(カブトガニの保全)
絶滅危惧種のカブトガニなど、多様な生物の生息・生育場となっている今津干潟で,地域住民を主体とした市民団体などと共働で里海保全活動を実施しています。
○森の恵み体験活動
NPO団体等と共働し、森の機能・特徴を学び、恵みを体験できる活動です。「曲渕水源かん養林」の森の中で、自然観察や森の手入れ体験、間伐材を活用したクラフト体験が行われています。
MY行動宣言!
生物多様性を守ることは私たちの生活にとって大切です。生物多様性を守るためにできるアクションとして、MY行動宣言というものがあります。今、私たちができることを考えてみませんか?