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@データ 「将来、何になりたい!?」


将来の夢の昔と今

みなさんの子どもの頃、「将来の夢」は何でしたか?2014年、英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授らによって発表された論文「雇用の未来-コンピューター化によって仕事は失われるのか」では、20年後までに人類の仕事の約50%が人工知能ないしは機械によって代替され消滅すると予測しました。⼦どもたちが将来就くことになる職業の在り⽅についても、産業・経済の構造的変化、雇用の多様化・流動化の影響で、⼤きな変化が予測されます。

以下のデータは、ランドセル素材などを製造・販売する株式会社クラレが、2023年4月に入学した小学1年生4000人を対象に、「将来就きたい職業」について、アンケート調査を実施したものです。2023年の結果では「TV・アニメキャラクター」や「ユーチューバー」がトップ10にランキングされており、20年前の2003年にはなかった新しいジャンルが増えていることがわかります。

出典:株式会社クラレ:2023年版 新小学1年生の「将来就きたい職業」

現在の中学生・高校生の将来の夢

そしてこちらは、少し大人になった中高生のデータです。LINEリサーチが2023年11月に日本全国の中学生、高校生の男女を対象に行ったスマートフォンWeb調査の結果で、小学生と比べると、夢や理想を描く姿は減少し、公務員などの安定した職業がランクインしており、中学生・高校生のほうが、より現実をイメージしている様子がわかります。大人になると自由度が増し、自分でコントロールできることが増えるものですが、それとともに責任も大きくなり、楽しさだけでなく不安も入り混じってしまう。中高生の心象をうかがい知ることができるデータです。

出典:LINEリサーチ

また、各世代の「なりたい」と思う具体的な職業が、1位でさえも10%に達していない状況の中、将来の夢が「きまっていない・わからない」と答えた割合はとても多く、中学生・高校生ともに20%前後となっており、この数値が最も危機的な状況ではないかと推察されます。親世代が学生だったころと比べても、得られる情報が豊富なだけに、社会にも現実的に向き合ってしまう。将来について悩みがあって当然の世代ですが、「夢も希望もない」と考えることさえもやめてしまうようであれば、この国の将来に大きな不安を残すことになりそうです。

また、一昔前の「将来」について抱くイメージは、高校・大学を卒業したら、就職や結婚をして、男性は仕事、女性は家庭を中心に、生活のスタイルを築いていく…という当たり前とされる形がありました。しかし現代の「将来」へのイメージは、技術革新等により職業の種類が増加して様々な働き方ができるようになり、「大多数が進む共通のレール」が昔よりも減少し、それぞれで自由に生きられる時代、つまり「生き方を自分で決めなくてはいけない時代」になりました。

そんな時代だからこそ、「夢を持たなくては」と焦ったり、将来のイメージが持てなくて不安を感じたりする、という学生が増えている現状があると推察されます。

高校生のライフプランニング

文部科学省では、高校生が進路選択にあたって、就職のみならずライフイベント(結婚や出産、育児など)を踏まえて総合的に考えることができるよう、内閣府と厚生労働省との連携により、キャリア形成支援教材「高校生のライフプランニング」を作成しています。

・高校生のキャリア形成支援教材「高校生のライフプランニング

現代は、一人ひとりがその人らしい生き方を実現することができる多様性の時代です。まずは、どんな生き方があるのかを知り、自分は何がしたいのか考え、自分らしい未来を見つけることが大切です。未来をつくるのは子どもたちです。より良い未来をつくるためには、大人の常識の枠にはめず、一人ひとりの能力・資質を伸ばそうとする大人たちの温かい眼差しが大切です。

・NEW JOB GUIDE TOUR
(職業に対する既成概念を取り払う青少年向けメディア)
 NPO法人九州コミュニティ研究所(2014)