|dialogue #02-2|博多あん・あんリーダー会(後編)
04 防災意識
防災の意識というのはいつごろから高まったのですか?
阪神・淡路大震災が起きた年(1995年)がボランティア元年と言われています。その時に、人々の命や暮らしを守るためには、公的な力だけではなく、自助や共助が大いに力を発揮するということが分かりました。 この経験が自助・共助への取り組みや、ボランティア活動へとつながる防災意識に大きな変化をもたらすきっかけになったのだと思います。
ところで、防災意識とはどういうことを指すのですか?
「自分が守るべきものが何かと、何をすべきかが、自覚できている」のが、防災意識だと思います。
防災についての活動や意識は人々に行き届いているのでしょうか?
防災活動への意識の広まり方は、個人の意識の高さによるものというより、世代や関わる環境によって大きく差があるように感じます。小学生や子育て世代の方、高齢世代の方々は、比較的高い割合で校区の防災訓練や地域活動に参加しますが、若い世代、特に中・高・大学生になるにつれて、「地域」や「校区」を意識する機会が少なくなるため、防災への意識も薄れていく印象があります。公民館を利用する機会が多い世代と、そうでない世代で、地域防災への意識格差が発生しているのではないでしょうか。私自身のこれまでの経験を通してもそのように感じます。
子ども会などで地域との関わりを持つ小学生の時には、身近なこととして防災を自然に意識することができるのですが、中・高校生になるとその感覚がなくなってしまう。しかしながら、地域の防災力向上にはできるだけ多くの世代の繋がりが欠かせません。今後は、いかにして全世代の方々に防災の意識を持ってもらうことができるのかということが課題です。
05 防災士の役割
リーダー会にはどんなメンバーがいるのですか?
約250名のメンバーは、世代、職種など、とてもバラエティーに富んでいます。年齢層は30代から最高年齢は90歳と幅広いです。職種も多様で、現役で働いている方、現役を退いた方と様々です。メンバーの中には、消防団員や消防職員として日頃から防災業務に携わっている方もいます。防災士の役割としては、あらゆる場面での防災力の向上が期待されています。リーダー会の活動内容は防災についての事前の「備え」や「気づき」についての啓発がメインとなりますので、被災地支援などの現場活動は含まれません。それぞれの立場や視点を活かし、より多くの意見を活用することができる幅の広さが防災士の良いところだと思います。
どんな目的があって防災士になるのですか?
地域や自治会などで防災の担当をされている方や、職場が避難所になる可能性を持っている方など、あらゆるシーンにおいて防災に関わることを求められる方が多いです。また、ケアマネージャーなどの福祉業務に携わる方や学校の先生も増えています。現在、小学校では防災についての授業もあるので、まずはご自身が防災を学びたいという先生がいらっしゃいます。いずれも、いざという時のための備えや対策のスキルを身に着けておきたいという目的をもって防災士の資格を取得されます。もちろん、私のように自分の家族や暮らしを守るために防災について学ぶ方もいると思います。
06 博多あん・あんリーダー会の活動とこれから
因幡さんは会長となった今どんなことをしてみたいですか?
私と立場が近い主婦や子育て世代の方々は、防災について日頃気にはなっていても、なかなか取り組む機会が少ない状況です。そのような方々に広く活動を知ってもらい、一緒に取り組んでいけるように工夫をしていきたいです。そして何より、子ども達や若い世代にもっと関心を持ってもらえるように、取り組みそのものを見直す必要があると思います。これまで培ってきたリーダー会のスキルを、より発展させるためには若い人達の存在は欠かせません。社会が抱える問題は防災の中にも同様に反映されます。環境問題やジェンダー問題などに直面しながらも、しなやかに今を生き抜く若い人たちのボーダレスな感覚をもっと防災の分野でも発揮してもらえればと思っています。そのためには、まず私たちの活動に少しでも関心を持ってもらえるように、多様な方面に意識を向け、仲間と共に成長し続けていきたいです。