プチプラコスメの悪いところ
学生時代、デパコスのデの字も知らなかったが、今では専ら、デパコス派な三十路女である。
デパコスはいい。
コスメカウンターの明るいライトに照らされ、BAさんに丁寧にタッチアップしていただく。
商品が決まったら、手袋を着けたBAさんが、芸術品を触るかのようにコスメの中身確認を行い、特別感も高級感も満載の立派な紙袋に入れて、入口付近で渡してくれる。
さらに、家に帰ってからもその高揚感は続く。
紙袋のリボンを解き、箱から丁寧にコスメを取り出して、視覚的にも楽しんだ後、「この日に使い始めよう♪」など、財布でも購入したのかと言えるほどの心持ちになったりもする。
いざデパコスを毎日メイクに取り入れてみると、なんとなく生まれ変わったような、新たな自分にホクホクするような、自分は特別なんだと思わせてくれるような、毎朝のメイク時間を非日常かのようにしてくれる。
デパコスはいい。
それに比べて、プチプラコスメはどうだ。
ドラストでサッと手に入り、綺麗な箱に入ってるわけでもなく、フィルムをベリっと剥がされ、なんの躊躇いもなく化粧ポーチにぶち込まれる。
デパコスとはまるで違う扱いを受けている。
そんな扱いとは裏腹に、最近のプチプラコスメといえば、SNS効果もあり、人気のものは秒で店頭から消えるほどの実力を持っている。
扱いこそデパコスとは違うが、実力はデパコスにもまるで劣らない。
また、デパコスのような高揚感は得られないかもしれないが、プチプラコスメは使い勝手が異常に良かったり、デパコスのように余計な装飾もなくコンパクトで、お直しコスメはドラコス一択の人も世の中には多いだろうし、私もそのうちの1人である。
そんなプチプラコスメの最大の問題点に、先日気がついてしまった。
家の歯磨き粉が終わりに近づいた、ある日の話である。
日用品がなくなったら、だいたいドンキやドラストに寄って帰る。誰もがそうであるように、私もそうである。
そして、お目当ての歯磨き粉こをカゴにいれ、そのままレジに行けばいいものを、それが、どうしてもコスメコーナーを通過しないと帰ることができない。
そもそも、歯磨き粉を買うだけで、カゴなど必要ないのである。
インスタで見たバズりコスメが残ってるか、念の為確認するか〜、なんて、「なんの念の為やねん」と心の中で、1人で会話、言い訳、ツッコミを繰り広げ、練り歩く。
時には手の甲にタッチアップしながら、時にはアットコスメを開きながら、酷い時には、そもそものドラストへの用件すらも忘れて、熱心にパトロールしてしまうのだ。
そして暁には、コスメをカゴに放り込んでしまう。
1番問題なのは、この行為を何度繰り返しても、週一ペースで繰り返したとて、罪悪感が全く起きないことである。
非常に大問題である。
これがデパコスならどうだ。
よっぽど肌に合わないなんてことが無い限りは、1ヶ月は買った時の気持ちが保たれる。パケを見ただけで高揚感が出るし、そもそも毎週5000円程度の買い物をしていたら破産する。
500円やら1000円やらの買い物には、あまり抵抗なくお金を出してしまうような、つまらん大人になってしまったもんだなと思う。
それもこれも、クオリティが高い、使い勝手のいい、すんなり手に入る、プチプラコスメが悪い。
低価格でハイクオリティ。
使う時の余計な気負いも必要ないし、むしろデパコスより使いやすい。申し分がない。
結局のところ、プチプラコスメには感謝しかない。これからも「ついで買い」や「パトロール」に励むことだろう。