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理屈じゃないこと、分かりにくいもの

ミュージカル『SMOKE』にピアノ演奏で出演しています。私はあと数回の出演なのですが、浅草でキャスト3名と共に力演しておりますので、よろしければぜひお越しください。

また、4月に主宰団体「東のボルゾイ」の新作ミュージカル『ガタピシ』を上演します。
作曲を終え、現在絶賛稽古中です。是非いらしていただけたら嬉しいです。

HPはこちら↓

慌ただしい日々の中で色々なことを考え、感じていますが、言語化することがあまりしっくりこず、noteを書いていませんでした。

そろそろ何か書き残したいなという気持ちになったので、
最近特に考えている、「理屈じゃないもの、分かりにくいものを大事にしたい」ということを書いてみます。

(題材が題材のため、筋道通った話ではなく、あくまで個人的な経験談になります。ご了承ください。)

先日、絶賛新作を作曲中&舞台に出演中、のタイミングでこのような投稿を見て、私も同意見だなと思いました。

https://x.com/millionmaro/status/1759094856675471697?s=46&t=Kez396LQL3AdMKOoSDUC6A

(私は、ボーはおそれているは未見なのですが)

私はもともと、一つの答え(テーマ)に向かって突き進む作品があまり得意ではありません。終わった後に色々と考察できる作品を見たいし、作りたいと思っています。
演劇だけではなく、例えば美術作品も、抽象的な作品を想像力を働かせて見ることが好きです。

先日観た「哀れなるものたち」は特に、映画として世の中の一部分を切り取っているはずなのに、世界の全てを見たような感覚になり、また、ロジカルに作られているはずなのに、理屈を超越した衝撃を受けました。

また、実体験において、出演中の『SMOKE』では時折不思議な瞬間が生まれます。

基本的には、稽古場でロジカルに作り上げた音楽に則った上で、その日のキャストの芝居の様子を汲み取りながら演奏しているのですが…

そのように意識を研ぎ澄ませて演奏していると、たまに、どうやってキャストの皆さんと息を合わせたのか、理屈では説明し難い瞬間が生まれたりします。
何故そのプランを選んで演奏したのか説明を求められたら、音楽的な概要は言えても、芝居と音楽のつながりについて完璧な細部まで言葉で表すことは、難しいと思います。

(そのような演奏をした結果、どのようにお客様に伝わっているかは分からないのですが…)




舞台音楽の作曲においても共通点があるように感じています。
以前このような投稿をしました。

https://x.com/asukamusic_1130/status/1640763725186748416?s=46&t=Kez396LQL3AdMKOoSDUC6A

作曲する時は、まず脚本と歌詞を読み込んで、音楽が表すべきことを考察したり、現実的にどのような音楽の方向性でいけば良いか、(ジャンル、テイスト、拍子、リズムなどの具体的なこと)みたいなことを理論的に考えます。

この辺りのことは、たまにnoteに書き記したり、会場で販売されるパンフレットに執筆したりしています。

一つのメッセージを伝えるだけの曲で良ければ、理論だけでも形にはなります。ただ、それらをただ考察するだけですぐに書けるような曲は書きたくない、と私は思っていて。
そこで満足したくないとなると、外の世界、自分の中にある精神世界を含め、感覚と想像力を全て使った冒険に出かけることになります。
『ガタピシ』を作曲する旅の過程では、同時に『SMOKE』に出演していたことも相まって、喜び、悲しみ、怒り、寂しさ、楽しさなど、全ての感情を同時に体験したような感じがします。
論理的ではない旅路なので、全くもって効率的ではないです。脚本の本筋を考えると、何故今そんなことを思考しているのか人に聞かれたとしても、答えられない瞬間もきっと沢山あったと思います。

でも、非効率なことをしてでも、自分のまだ知らないこと、持っていないもの、やったことのないものを獲得したいと思って、毎回曲を書いています。

こうやって書くと、新作『ガタピシ』をどうやって作ったのか、全く具体的な説明になっていないのですが笑笑😂

(もしまた、作曲過程について理論面で書きたいことが出てきたら、それはそれで書きます。)


芸術は非常にロジカルな世界ではあるのですが、一方、このような、理屈で説明できない数々の現象は芸術にしか起こせないことなのではないかなと思いますし、だから芸術は面白いのだと思います。

いや、もっと大きなことを言えば、理屈だけで全てが進んでいるわけではないのは、人間や人生そのものもそうですよね。だから人生は面白いのだ、とも思います。

私はこれからも、理論と感覚を使って、表現を続けていこうと思っています。
『ガタピシ』も『SMOKE』も、一筋縄ではいかない作品ですが、一緒に体験していただけたら嬉しいです。

もう少し適切な表現で書ける気もするけど!ひとまず終わりにします!最後まで読んでいただきありがとうございました!!

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