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仮想通貨は国外転出時課税の対象か?

Bitcoinなどの仮想通貨の高騰により億り人となった方が増加した2017年。
そうした富裕層の国外移住が散見された2018年。
仮想通貨の取り扱いが少しずつ明確になってきました。

主な仮想通貨取引によるの所得税の取り扱い

簡潔に言うなら外国通貨とほぼ取り扱いは同様です。
・仮想通貨の売却→売却差益が雑所得
・仮想通貨で商品購入→商品の購入価格と仮想通貨の取得価額の差額が雑所得
・仮想通貨同士の交換→新仮想通貨の購入価額と旧仮想通貨の取得価額の差額が雑所得
・マイニングによる取得→雑所得

これらの詳細は国税庁のFAQにて公表されています。

仮想通貨は国外転出時課税の対象となるのか?

結論は、現段階(2019年1月1日時点)では明確な規定はないため、諸説ありますが私は対象にはならないと考えております。

理由は下記の通りです。

国外転出時課税の対象となる有価証券等とは、金融商品取引法(以下、金商法)に規定する以下のものです。
・有価証券
・未決済信用取引
・未決済デリバティブ取引

金商法では明確性の配慮から有価証券の範囲を限定列挙(金商法2条1項1号~20号)しており、仮想通貨は限定列挙に含まれておりません。

つまり、国外転出時課税制度の対象となるのは金商法に規定する有価証券と規定されている以上、規定されていないものは対象とならないと理解できます。

注意も必要
国外転出時課税制度は、居住者が国外転出(非居住者となる)の時に1億円以上の有価証券等を有する場合、その有価証券を譲渡したものとみなして売却益相当額に課税する制度であり、キャピタルゲインが課税されない国へ富裕層が移住することを防ぐために規定されたものです。

国外転出時課税が富裕層の課税逃れ防止のために作られた制度ということを考えると、今後の改正で対象となる資産が有価証券及び有価証券に類似するものに拡大される可能性は十分あります。

今後の動向を注視するようにしましょう。

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とり君
関西出身の会計事務所ベテランスタッフ「とり君」が教える、税務のハナシ。 国際税務から海外進出・連結納税・連結決算・IFRS 対応・公益法人支援まで幅広くわかりやすく解説します。