見出し画像

税法における帳簿書類の保存期間について

「とり君、この書類いつまで残しておけばいいの?」

私がこの業界に入って一番良く聞かれた質問かもしれません。

ふと現在(2020年)の情報を整理しておこうと思いました。

緊急事態宣言中に断捨離された方もいらっしゃると聞きますがこの際会社の書類も整理してしまいましょう。

と、その前に税法上の帳簿書類等の保存期間については「欠損金の繰越控除」と密接な関係があります。

「欠損金の繰越控除」はその事業年度に発生した欠損(税務上の赤字)を翌年以降の所得(税務上の利益)と相殺することができる制度です。

ただし、無制限に繰り越せるものではなく、下記のとおり有効期限が定められています。

 平成20年4月1日以後に終了した事業年度における欠損・・・9年

平成30年4月1日以後に開始した事業年度における欠損・・・10年

それでは本題です。

まず、税法上なぜ帳簿書類を保存しておかないといけないのか。

「税務調査のため」です。税務署から調査官が税務調査に来ました。チェックする帳簿が残っていません。ではどうしようもありません。

なので、「ちゃんと帳簿書類を残しておいてね」と法律で定められているのです。

もし処分してしまって帳簿書類が無い場合は恐ろしい「推計課税」(調査官が勝手に推測した数字で課税)という方法で追徴されてしまいます。

保存しないといけない期間ですが、法人税法における大原則として「7年」保存しましょうというルールがあります。

ですので基本的には「7年」保存が必要となります。

ただし、以下の二つの例外規定があります。

1.平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年

2.平成30年4月1日以後に開始した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年

欠損が生じた事業年度については保存期間が異なるので注意が必要です。

その事業年度の法人税確定申告書別表一、左上の1の数値の頭に「△」がついている場合は9年若しくは10年保存が必要です。

1と2の説明文、「欠損金の繰越控除」の有効期限と一緒だと気づきましたか?

そうです。一緒です。要は欠損金の繰越控除を認めてあげてる期間の帳簿は残しておいてくれないと翌年以降の所得と相殺してもいい欠損なのかどうか判断できないでしょということですね。

それではまとめます。

・直近事業年度から遡って7年分は絶対保存

・8年前、9年前の分はその事業年度の法人税確定申告書別表一、左上の1の数値の頭に「△」がついていたら保存

(2020年時点では10年保存の事は考えなくて大丈夫です)

いいなと思ったら応援しよう!

とり君
関西出身の会計事務所ベテランスタッフ「とり君」が教える、税務のハナシ。 国際税務から海外進出・連結納税・連結決算・IFRS 対応・公益法人支援まで幅広くわかりやすく解説します。