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流産があったからこそ今がある

さて、流産シリーズ最終回になります。

体質改善をして子供を授かりたい!という思いが強くなればなるほど、私の生活はどんどんストイックになっていきました。

夫からもクレームが来ます。毎日玄米菜食で、肉や魚がない生活。なぜ妻の食生活に巻き込まれなきゃいけない?となります💦

でも当時は、健康にいいことだから一生懸命勧めてるのに、夫は受け入れてくれない。そんなことを思っていました。ちなみにうちの夫はよく我慢してくれてた方だと思います。

不妊体質の人は体の芯が冷えていることが多いと聞き、ヨガや筋トレも一生懸命やっていました。時には夫も巻き込んで(笑)

そんなこんなで、私の体は20代よりも30代になってからの方が健康体になっていました。

でもどれだけ体質改善をがんばっても、子どもはできませんでした。それには決定的な理由がひとつあったんです。

2度目の流産のあと、生理が止まりました。

健康になって風邪ひとつひかなくなったのに、気力も充実しているのに、肝心の生理がない。ということは子どもができない体だということです。

これは私にとって最大の悩みでした。

でも病院にはもう頼りたくない、という頑なな思いがあって、一度だけ卵巣や卵管の検査をしましたが異常は見つからず、相変わらず自力でなんとかしたいとがんばっていました。

35歳になったとき、もうそろそろ子どもはムリなのかな、と思い始めました。5年間も生理が止まっていたんです。原因不明。これ以上何をしたらいいのかわからない状態でした。

そんなとき、実家の家族4人で昔住んでいた岡山県に旅行に行くことになりました。

外に出ると、私が普段食べないようにしている物のオンパレードです。
海があるので美味しい牡蠣や魚介類がたくさん出ます。その土地ならではのお菓子もあります。

仕方ない、この時ばかりは解禁にしようと、砂糖を使った甘いお菓子も口にして、お土産にも持ち帰りました。
ここをきっかけに、私の食生活は緩くなっていきました。

実は甘いものがすごく好きで、本当は食べたかったけど、頭の中で強く禁止していたんです。
むしろ白砂糖は敵だくらいに思ってました😅

心が緩むと体も緩みます。
そんなある日、突然生理が始まりました。
5年間ピタッと止まっていたのに、そこからものすごく規則正しく毎月来るようになったんです。

思えばこれは、私が私自身に気づくためのきっかけだったのかもしれません。頑固で周りの人に頼らず生きようとしていた私は、ヨガをやっていても体が硬く、生き方考え方そのものが体にも表れていました。

1人でずっと泣いていた自分を奮い立たせ、もう2度と泣くもんかと思いながらがんばってきたこの数年は、自分本位で本当にたくさんの人たちに迷惑をかけてきました。
夫や実家の家族は心配していただろうけど、私はどの人の意見も聞き入れませんでした。
そんな私をみんなは受け入れてくれていたんです。
私は愛されていたんだなって、やっと気づくことができました。

子供ができないことが不幸だと思っていたのは私だけで、周りの人たちは私の幸せをただ願ってくれていただけだったんです。
私は本当に子供が欲しかったのか、必要だったのかと問われると、実はどちらでも良かったことに気付きました。
夫や夫の家族、実家の両親に申し訳ないと思っていたけれど、誰一人そのことで私を責める人はいませんでした。
私が勝手に、周りの人たちを「責める人」にしてしまっていたんです。

それからしばらくして、今の芸術活動を始めることになります。
それでも30代はどこかで、まだ産めるんじゃないかという期待とか、子供が欲しい気持ちを手放せない自分がいました。
でも決定的になったのは、39歳にまた流産した時でした。

私は子供のいない人生を生きると、この時やっと気持ちが吹っ切れた気がします。
実は妊娠しているかもしれないと思った時に、芸術の舞台の地方公演が決まっていて、私は行く選択をしたんです。
だからあえて、妊娠しているかどうかの検査はしませんでした。
私は子供のいない人生を選ぶことを、この時すでに選択していたのかもしれません。

自分の与えられた状況の中でどう選択し、どう考え、どう生きていくか。
これは全て自分自身にかかっています。
でも一方で、迷いや悩みが出てくることは沢山あって、周りの人たちと助け合いながら生きていくことを学べる機会でもあるんです。

流産は本当に悲しくて辛くて、なぜ自分だけがこんな目に遭うんだろうと何度も思ったけど、これがあったからこそ出会えた仲間もいて、舞台に立つことなんでおそらく一生なかったかもしれない。だから人生はいくらでも前向きに生きられると思います。

ただ辛い時期に気持ちをわかってくれる人がいたら、私ももう少し早く立ち直れたかもしれないなと思うんです。
だから、もしも子供がいなくて辛いな、苦しいなと思ってる人がいたら、その思いを受け止めたいし共感したいなと思っています。

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