編み物は瞑想だ

多趣味であると公言したが、本当に多趣味なのである。
編み物、大人の塗り絵、お笑い、ハロプロ、シール集め&手帳デコ、ヨガ、美容、読書、歴史など。
中でも最近ハマっているのは編み物だ。

最初に編み物に触れたのは幼稚園の時。
かぎ針で鎖編みしかできなかったが、ただの一本の毛糸が少しの動作で形を変えていくのが面白く、用途不明の長い鎖編みが何本も家にたまった。

次に編み物をしたのは小学5年生の冬。
棒針編みを母に教わり、のちに小説を一緒に書くことになる親友とマフラーを編むことに挑戦した。
編み物といえば棒針編みのイメージがあり、両手に棒を持って糸をかけては縫い手を繰り返すとどんどん形が出来上がってくることに快感を覚えた。
結局マフラーが完成する前にブームが去ってしまい、編みかけの毛糸が勉強机の奥に追いやられてしまったが、編み物の基本を習得できた。

中学校の選択授業で再び棒針編みマフラーを作ることになった。
授業なのに友達とおしゃべりしながら手を動かすだけで良く、癒しの時間だったことを覚えている。


月日は流れて大学2年生の春休み。
ダイソーでクマの編みぐるみキットを発見した。
テディベアのモチーフが大好きなので思わず手に取った。
幼稚園生で鎖編みができたのだから、大人になった今なら編めるかもしれない。
そう思って購入に踏み切った。
これが私のプロフィールの趣味欄に編み物が加わるきっかけだった。

しかし始めてみようとして早速躓いた。
最初が鎖編みじゃないだと…?
あみぐるみは最初円から始まるもので、「輪のつくり目」といって鎖編みではない方法でスタートする。
幼稚園の時にやった鎖編みが通用しないらしい。
わけがわからなくてネットで「輪のつくり目 方法」で検索してみると、YouTubeでわかりやすく教えてくれている方がいた。
そのおかげで作り目ができ、細編みの方法も学ぶことができた。

あみぐるみは基本細編みだけで完成するので、その後は編み図を見ながら編み進めることができた。
引き抜き編みの場所を間違えるなど細かいミスはあるものの、なんとか一体のクマをこの世に生み出すことに成功した。
無心になって編み図と睨めっこしながら編み進めるうちにモノが完成していくことに楽しさを覚えた。

同じ編みぐるみシリーズのネコとウサギを作ったがそれでは飽き足らず、書店で初心者用のかぎあみの本と100均の毛糸を購入して様々なモチーフを編んだ。

母の日にはスマホケースやがま口コインケースを編んでプレゼントしたり、自分用に三角ショールを編んだりするようになった。

飽き性でもあるので、編み物ブームは一時去ったが、冬になると毛糸に触れたくなるのは変わらない。
大体はかぎあみだが、たまに気が向くと棒針編みをやることもある。
これまでストールやカバンや帽子など多くのものを編んできた。
今年はついに大物を編もうと思い立ち、かぎあみのウェア(ベストやスカートなど)に挑戦している。
いつか棒針編みでもウェアを作れるくらい腕を上げたい。

しかしなぜこんなにも編み物に魅了されているのか。
私にとっては瞑想のようなものだと思っている。
編んでいる間、心の中は目の数を数えることに必死で余計なことを考える隙間がない。
最近はラジオを聴きながら編むことが多いが、流し聞き程度の余裕しかないので、ハッと我に帰った時に何の話をしているのか分からなくなることもある。

いつかゆっくり書こうと思うが私は長年うつ病を患っている。最近は安定しているものの、昔はちょっと気を抜くとすぐマイナス思考に陥って苦しくなっていた。
だが、編み物をしている時間は病んでいる暇などないのだ。
これが夢の世界にいるような現実逃避のようで私には心地よい。

そんな私の趣味の一つだが、編み物に関して夢がある。
それは編み物でお金を稼ぐことだ。
メインの仕事にするつもりはないが、副業として収入源に出来ればと思っている。
今までは市販の書籍に載っている他人が考えた編み図に沿って編んできた。
しかし、著作権の関係でそれを販売することはできない。
だから自らデザインと編み図起こしをできるようになって、メルカリやminneのようなサイトで売ることが目標だ。
まずは簡単なアクリルたわしからでも良いので、自分の好きな配色で編んで売ってみたい。
今編んでいるスカートが完成したら、夢の実現に向けて一歩進め始めようと思う。さ

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