グレイブヤードキーパー② 小銭に目が眩み大金を逃す

前回のあらすじ:異世界転移した俺は墓守になり、転移初日に死体の肉を売りさばこうとしていた、なんてこったい

デッドホース亭は、それなりに繁盛しているようだ。船乗りみてぇな男、なんか書き物をしている男、赤い髪の毛の女の人にカウンターの奥にいる少し疲れた顔をした男、多分アイツがマスターだな。ヘイマスター!ちょっといいかい?

マスターはホラドリックという男だった。俺が突然この世界にいたことを話しても、教会はいつ開くのだとか聞いてきた。埒が明かねぇ予感がした俺は適当に話を合わせておいた。その後、埋葬証明書を交換する際に、ホラドリックがこの村の長ということが判明した。酒場のマスターが村長とは、やはりこの酒場が重要な場所になりそうだ。しかし、ホラドリックが言っていた「古代の契約」とはいったい?

分からないことは放っておいて今度は、肉を売りつける番だ。ところが、肉は王国肉印とやらが押されてないと売買不可だというじゃないか!前に不適切な肉がどうのと言っていたが、まさか前にも俺みたいに不思議なお肉を売りつけたやつがいたのか?ホラドリックは印が欲しかったら教会近くの郵便受けから申請書が送れると教えてくれた。値が張ると言っていたのが不安だ。

ホラドリックは俺の不安な顔に、気づいたのか、周りを憚る声で、スネークという男が偽造印を持っているということを教えてくれた。伝説の傭兵は異世界転生していたのか。しかし最近は顔を見ていないとは運が悪い。ミスチャームという女性が、スネークのことを知っているらしい。♀のマークの日に、彼女は来るそうだ。だが今日はその日じゃない。しょうがないから酒場を出ようとしたら、ホラドリックから頼みごとを頼まれた。鍛冶屋のクレズボルドへ手紙を届けてほしいそうだ。とりあえず、恩を売れる時には売っておきたい。俺は、その手紙配達を引き受けた。

村の南東、クレズボルドの所へ着くと、なかなかに頑固おやじそうな見た目の男がいた。話しかけると不愛想な男だった。ホラドリックからの手紙を渡すと、好感度が10プラスされた。え、なに?俺このおっさんにフラグを立てたの?手紙の内容は村に現れたスライムを、クレズボルドへ排除してほしいという依頼の手紙だった。え、なに?ファンシーな妖精とかいないのに、しっかりモンスターだけはいるわけ?うわー、これは墓守するよりかモンスターハンターしてる方が稼げそうや。クレズボルドは面倒くさいのか、俺に錆びた剣とスタミナ回復用のポーションくれてやるから倒して来いと頼んできた。剣は砥石車で修理できる、砥石もセットにしてやると?これはお得だ!やるやる!

スライムがいるのは、クレズボルドの家の裏だった。やばくね?俺が来なかったらどうするつもりだったんだ?だがその前に、まずは剣の修理だ。砥石車の前に立ち、剣の工作を始めた。Yボタンを押し続け、剣の修理を進める。割とエネルギーが持っていかれる。それじゃあ戦闘だ!Xボタンで剣を振る!一振りごとに2ずつ消えていくスタミナ!飛び散るスライムの残骸!ウォォーッ!勝った!2匹のスライムはグリーンゼリーと化し、我が初陣は終わった。クレズボルドは、グリーンゼリーを持ってきたら何かアイテムをくれると言う。メロンゼリーみたいな色してるし、食うのかな?

さあクレズボルド!お前の欲しがったグリーンゼリーだ!え?テクノロジー解放?グリーンゼリーとレッドゼリーのレシピ?コレ食えるの?うへぇ。どうやらクレズボルドがくれた砥石は色々道具を磨けるらしい。前任の墓守が残してくれていたサビッサビの斧、つるはし、スコップを一通り磨いておく。だいぶスタミナ持ってかれてるぞおい。回復には寝るか飯食うか、さっきくれたポーションとかがいいらしいが、序盤で使うには忍びねぇ。家に帰って寝るか…おん?鉄鉱石取れる場所教えてくれるの?沼と北の方?サンキュー!

家に帰る前に、ホラドリックの酒場によって手紙を渡した報告をした。お?礼にビールくれるの?ありがてぇ!キンキンに冷えてねぇビールだ!こいつがキンキンに冷えてたなら、ジェリーに飲ませるのがすこぶる惜しかったが、これなら飲ませてもいいだろう。今日は休肝日だ。それで家に帰る途中に、家の近くの小道にジェリーが。オイオイ、お前見つかったらやばいんじゃないか?少しおしゃべりして、家に帰ってその日は寝た。どうせ常温のビールだ。朝まで放置してかまわんだろう。

おっはよー!気分爽快!安置所にいたジェリーに常温の炭酸の抜けきったであろうビールをくれてやった。オラ喜べ!好感度20プラス!へっあまいな。おん?もっと強い酒を?贅沢なやっちゃ。でもビール分の助言はしてくれた。自分が別世界から来たとは言うな?そりゃねぇ、なろう的な世界なら言いふらすのもいいのだろうけど、この村めっちゃ閉塞感があるもん。言えばムラハチ不可避だ。あと図書室があることも教えてくれた。教会の地下にあるそうだ。あるいは占星術師から情報を得よと。図書室に行くには、協会から行くか、安置所か自分の家の地下倉庫から行けるようだ。しかし、安置所と地下倉庫にあった通路は2か所とも、崩れてたぞ?しかも見たことないアイテムを要求して。テクノロジーをチェックしたらちょっと先に必要アイテムが作れる台があった。占星術師は三日月のマークの日に灯台に来るそうだ。おん、今度はワインが飲みたい?どうせ飲んでも下の木箱にドバドバこぼれてるだけじゃねぇか!

そういえば、地下倉庫を確認しに行ったときに、崩れた通路の先から男の声が聞こえていたのを思い出した。男はどうやら何かを開けようとしているようだ。男はなんか禿げてて、口ひげを蓄えていそうな男の声だった。まさか、この声の主がスネークなのか?

とりあえず、スネークと出会うのが無理そうだったから、王国肉印のお値段の方を確認しに行ってみた。え?銀貨50枚?銀貨一枚で銅貨100枚なんですよ?グワーッ!ブルジョワにしか許されぬだと!不貞寝しに行ってやる!

気分爽快!アイエッ!?オバケ!?幽霊はヨリックと名乗り墓場の南東の角に埋まってるやつが不快だから掘り起こして川に流せと言ってきやがった。墓を掘り起こすには死体発掘許可証が必要らしいが、一枚はヨリックが生前盗んで多分がもらえた。そういや郵便受けに死体発掘許可証の申請書があったな…えっ?一枚銀貨1枚に銅貨75枚?グワーッ!

さっそく死体発掘許可証のパワーで、南東の何の飾りつけもない埋められただけの死体を掘り起こし、川に流してやった。一仕事終えた俺に、川にやってきたジェリーがまあまあ面倒な態度で絡んできた。え?火葬する方法教えてくれるの?火葬したら埋葬証明書もらえる?ヤッター!しかし燃やすには丸太が何本か必要らしい、しかも輪切りにした。ここでもテクノロジーか!

家に帰って家の周りの掃除を始める。テクノロジーで作るマインなんちゃらの作業台的なサムシングを置くためにスペース確保だ。だが疲れた!寝るぞ!と意気込んで部屋に帰った俺を出迎えたのは愛しい人ではなく幽霊のヨリックだった。どうやら死体のことを教えてくれるらしい。悪行を働いた奴には赤髑髏が、善行働いた奴には白髑髏がついて?赤髑髏のやつを埋めたら墓場の質が下がる?マジかよ、死体ガチャをせよと?俺はソシャゲは最高レア確定にしか課金しないぐらいには運がないんだぜ?

おっはよー!気分爽快!家の周りも片付いたし、家の周りを散策してみようか。お?家の北の方に鉄鉱石あるやんけ!掘り返してクレズボルドに売ったろ!え?一個銅貨10枚?足元見られとる…え?家の北の方の崩れた道を直すのに、鉄鉱石使ったアイテムが必要?そこからなら鉄鉱石が無限に取れる?そのアイテムも間違えて売っちゃった?アババババーッ!

続く