レシピなんていらないんじゃないか宣言
忙しいと料理するのも洗い物もめんどくさい。
けれど手抜きはイヤ、家族にも自分にもちゃんとしたモノを食べさせてあげたい。
なにより、料理がきちんとできない自分のことが自分自身で嫌になる。
わたしはフードスタイリストという肩書きでフリーランスとして活動しています。ふだんのお仕事の中にはレシピ開発のお仕事もあります。
でも、そんなわたしでも働きながら子育てもしつつ掃除や洗濯や日用品の買い物までしていると、正直レシピを見てしっかりお料理するなんて心の余裕がもてません。
心の余裕のない時に、一から材料を揃えて手順通りに作るなんて、、想像するだけでぐったり。
娘を授乳しながらスマフォで色々見ていると、おいしそうな写真に素敵な暮らしぶりが溢れています。
かたや我が家は、娘の散らかしたオモチャに洗い残しの食器たち、とりこんだけれど畳めていない洗濯物の山、娘の手の届かないように机に積まれた読みたいけれど読めない本から無言のプレッシャーを感じます。
主婦なんて昼寝もできて休憩時間たっぷりで気楽なもんだろう、だなんて独身時代にぼんやり考えていたあの頃の自分に教えてあげたい。
毎日のタスクの量、半端じゃないよ、、、って。
なんとか家事や育児をこなしながらレシピ作りや料理の写真を撮っていると、たまに思うんです。レシピなんていらないんじゃないの?って。(そもそも、レシピ通り作っても食材や調味料が違えば同じ味になんてならないですし、食べ手の好みもあるし、そのへんの話はまた別の機会に。)
レシピ作成の現場では、忙しい人のための時短レシピや、作り置きレシピがすごく需要があります。クックパッドでも「簡単」とか「シンプル」とかの単語がたくさん出てきます。
でも、そのシンプルなレシピを再現するのすらめんどくさくなっちゃう時期って、きっとあると思うんです。
そういう時に、一個でいいからお気に入りの器を見つけてください。
入るのに迷っていた通勤途中にいつも見かけるギャラリーとか、SNSで流れてきて気になっていた作家さんの器とか、思い切ってひとつ求めてみてください。
それで、忙しい残業帰りとかバイト帰りとかに近所のコンビニで買ったパスタとかお惣菜とかをそのまんまチンして食べるんじゃなくて、お気に入りの器に盛りかえてみて欲しいんです。
別にSNSに投稿してインスタ映えを狙いましょうとかじゃないんです。
ただ、洗い物は一個増えるけど、お気に入りの器に盛りかえるだけでも少し気持ちが救われる。自分を大事にされているって感覚を、ちょっとだけでも持てる気がするんです。
わたしがフードコーディネーターではなくフードスタイリストを名乗っているのは、そのちょっとした食卓の仕立てで気持ちが救われたり、あしたも頑張ろうって思える人を増やしたいなという気持ちがあります。
フード業界でのキャリアもまだまだ浅く、調理や食材の技術も知識も日々修行中の身です。
もちろん、noteではレシピも書いていきます。簡単で美味しいずぼらなわたし対応のと、食材マニアなわたし向けのうんちくと愛情たっぷりなやつを。
仕事が忙しすぎて夜中の2時に帰宅する車中で、ドライブスルーのチーズバーガーをむさぼっていたあの頃の自分のような、そんな人にも見てもらえるようなものを。
育児や家事が忙しすぎて、外にも飲みに行けなくて、でもたまの休日に夫や家族と少しだけのんびりお酒を飲める時に話がはずむようなおつまみを。
そんな、わたしにとってのちょうどいいフィットするものを届けていけたらと思っています。
もしもそれが、あの頃のわたしや今のわたしのように、せわしない日常に擦り切れそうになっている人にとって、ちょっとした安らぎになれば嬉しいです。