高校生発 ロールモデルをみつけよう! #2 株式会社テラ・ラボ 松浦孝英さん
取材日:2020年5月22日
編集長:沖沢優希子
~はじめに~
皆さんこんにちは、相馬高校3年の沖沢優希子です。このページでは、私たち高校生の視点から、様々な大人の生き方や想いを発信していきます。多くの高校生がこれからの進路を考える時、このページからロールモデルをみつけて欲しい、そんな想いから始まったこの企画「高校生発!ロールモデルをみつけよう」第2弾のインタビューに関わり、初代編集長の遠藤春香さんから編集長のバトンを受け取りました。
今回インタビューをさせていただいたのは、愛知県に本社を置く株式会社テラ・ラボ代表取締役の松浦孝英さんです。
南相馬市原町区にある福島ロボットテストフィールド内(以下ロボテス)で無人小型航空機の研究開発を進めています。
福島イノベーション・コースト構想の中心でもあるロボテスにいち早く入居され、研究開発をする松浦さんへのインタビューは、始まる前からワクワクしました。
そして、松浦さんとオンラインの画面越しにお会いしての第一印象は、眼力の強い貫禄のある人。
一気に緊張しましたが、取材を進めるなか、松浦さんの穏やかな語り口に緊張も和らぎ、楽しく2時間のインタビューを行うことができました。
「決断力の速さと強い信念の松浦さん」
松浦さんと南相馬市のご縁は、2019年2月になります。
福島県で行われた企業立地セミナーで初めて福島県の浜通りを訪れた松浦さんは、東日本大震災に伴う原子力発電所の事故の影響で時間が止まったままの地域があることに愕然としたそうです。
そのような被災地の状況に向き合った後に訪れた南相馬市では、市長を始め地元の皆さんの前に進もうとする意欲、そしてロボテスへの熱い想いに心を掴まれたと話されていました。松浦さんがロボテスを無人小型航空機の開発拠点とすることを決めたのは、セミナーの翌週とのこと。
社内に反対意見もある中、松浦さんは、福島はこれからの日本の社会課題に直面しており、沢山学ぶべきことがある場所と感じたそうです。
決断の速さに松浦さんの信念の強さを感じました。
周りの意見に流されず、自分が大切と感じたことに前進し続けることができる松浦さんについてもっと知りたいという気持ちが湧いてきました。
松浦さんは、今までどのような道を進んできたのでしょうか。
どうして無人小型航空機の研究開発に取り組もうと思ったのでしょうか。
「ジャズから山あり谷あり、20代の松浦さん」
松浦さんが無人小型航空機の開発を始めたのは、比較的最近なのだと話してくれました。
私たちと同じ高校生時代の松浦さんは、吹奏楽部に所属しており、とても充実していた高校生活だったそうです。
大学に行ってからは迷いの連続だったと話して下さったのですが、迷いながらも好きな音楽をとことん追求するなど、自分の選択肢を広げていたのだなと感じました。
因みにのめり込んだ音楽はJazzとのことです。高校生の私には、ちょっと大人の世界と感じるJazzについても熱く話してくださった松浦さんでした。
大学を中退した松浦さんは、音楽そしてベンチャー企業を立ち上げます。
この時、お金は稼げたが満たされないものを感じたと話してくれました。
世の中にはもっとやらなくてはいけないものがあるのではないかと考えた末、松浦さんは、大学に復学しました。
そして大学を卒業し愛知県内の大学の職員として、NPO活動の研究とともにボランティアセンターを立ち上げ、充実した生活を送っていた中、東日本大震災が起こりました。
東北出身の学生が風評被害で誰も食べてくれないと泣きながら持ってきた福島のお米を食べた松浦さんは、これから社会には何が求められていくのだろうか、と深く考えこんだと話してくださいました。
この時、これからの社会について考えたことが、今の南相馬での活動に繋がっているのかもしれないですね。
「無人小型航空機のきっかけは少年の心」
ラジコン大好き少年だった松浦さんの出身の愛知県は、当時から航空宇宙産業特区でした。
知人から航空宇宙産業の話をされても、そのころの松浦さんは関わるようになるとは思ってもいなかったそうです。
偶然、種子島にJAXAのロケット打ち上げを見に行く機会があり、そこで思ったことは、「ロケット以外で宇宙に行けるものないのかな、、、。」好奇心に火が付きます。無人機を宇宙へ飛ばしてみたい、ふとした思い付きがスタートとなり、松浦さんは宇宙への挑戦を志しました。
世の中の宇宙開発がロケットに特化する中、ただ一人、ロケットではないもので宇宙へという視点・発想をもち、無人小型航空機の研究・開発が始まりました。
少年の好奇心が、今の無人小型航空機の研究・開発に繋がったんですね。
この時の話をする松浦さんの目はキラキラして、無邪気な少年の顔が見えていました。
「松浦さんから私たち高校生へ」
「自分のいる環境にきちんと感謝をすることが、とても大切だよ」とは松浦さんの言葉です。それはただ、ありがとうの言葉を伝えるだけではないと言います。
松浦さんは更に言葉を続けて、物事を進めていくと一人でできることには限界があることを知り、謙虚さが身に付くと話して下さいました。
今まで、当たり前に家から学校に通い、生活していますが、当たり前の生活を送れるなかには、沢山の人たちが関わってくれていることに気が付きます。
そして、一人でできることはとても少ないことに気が付いた今回のインタビューに携わることが出来て、本当に良かったと感じました。
自分が当たり前に生活できることへの感謝の気持ちを忘れずに大切にしていきたいです。
【インタビューを終えて 編集長 沖沢優希子の感想】
【インタビューを終えて 原町高校1年 佐藤茅音の感想】
【「高校生発 ロールモデルを見つけよう」について 遠藤春香】
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