YAMADA,Asato

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内藤頼博と水谷八重子、あるいは昭和の裁判官と文壇芸界との関係について

6/27放送の「虎に翼」第64話、家庭局長多岐川幸四郎がブチ上げた「愛のコンサート」の出演歌手として、前作「ブギウギ」から菊地凛子さん演ずる茨田りつ子がサプライズ登場し、朝ドラファン歓喜の展開となりました。 茨田りつ子は殿様判事ライアンこと久藤頼安と昔から交友関係があったということで、コンサート出演とともに家庭裁判所のポスターのモデルも快く引き受けてくれました。 劇中で登場したこのポスターのデザインは、史実の昭和24年4月の家庭裁判所創設記念週間のために作られたものを忠実に

    • 牧野英一博士と民法730条

      6/7放送の「虎に翼」第50話では、紆余曲折を経た民法改正案成立を受け、ライアンこと久道頼安をはじめとする司法省民事局民法調査室の面々が、「神保教授のごり押しで730条が残ってしまったことが残念だ」「『直系血族及び同居の親族は、互いに扶(たす)け合わねばならない』などという当たり前のことをわざわざ法律で規定することを国民はどう感じるだろうか」と話し合うシーンが描かれました。 ご覧になって、少し不思議に思った方もいらっしゃったのではないでしょうか。 あれほど家制度の堅持にこだ

      • 穂積重遠博士の帝人事件弁論

        NHK朝ドラ「虎に翼」で、主人公猪爪寅子の父直言が連座した大疑獄事件「共亜事件」。直言の弁護を引き受ける弁護士がなかなか見つからない中、寅子の恩師穂高先生が自分が弁護人になろうと名乗りをあげてくださったことに感激した方も多数いらっしゃることと思います。 穂高先生のモデルである穂積重遠博士も、民法がご専門でありながら、共亜事件のモデルである(と思われる)帝人事件で、これに連なって起訴された友人、大蔵省大久保偵次銀行局長の特別弁護人を、帝大同期卒業生101名を代表して務められま