BOSS DS-1でトランスペアレントなドライブペダルを作る
DS-1を素敵なオーバードライブペダルにする
BOSSの有名ペダルを解析しながら自分好みのローゲインなオーバードライブペダルに改造する第二弾。
SD-1のようにオペアンプの負帰還でクリッピングさせる形式じゃない回路を触ってみたいと思いDS-1を入手しました。
とはいえ、自分の音楽活動では正直ディストーションはほとんど使わないので、ゲインをグッと下げ、ディストーションという名前のオーバードライブペダルを作ります。
トランジスタの増幅率を下げる
DS-1はまずQ2のトランジスタでかなりゲインを上げていて、このトランジスタをクリップさせています。下記の定数を変更してゲインを下げます。
C3:0.047UF → 0.082UF
R6:100K → 68K
R9:22 → 1.1K
ディストーションとしてしっかり使いたい人はR9をオリジナルに近い値で調整すると良いと思います。
オペアンプで低域を増やす
オペアンプで低域をカットする量を減らします。中高域のみを増幅しているTS系と異なり、DS-1はほぼ全帯域をブーストしていますが低域はカットされています。
定数を以下に変更することで負帰還のカットオフ周波数は72Hzから33Hzになります。
DS-1の不足しがちな低域がこれで改善します。
R13 : 4.7K → 2.4K
C8:0.47UF → 1UF
R11やR13、VR1の値でオペアンプの増幅率を大きく変更することもできます。
ダイオードクリッピングで歪みの質を調整する
ダイオードは歪みの質を左右しますが、基本は最終調整でよいと思います。今回はD5だけ変更。D4は色々試しましたが最初から付いてる1N4148でOK。1N4148はとてもバランスがいいです。今は手に入りやすいですが、30年ぐらい経ってディスコンになったらみんな探し求めるんじゃないでしょうか。
D5は1N456Aと迷って1N4007にしました。1N456Aはクリップするレベルが低めで音が滲みやすい。1N4007は中低域がガツンと出てくるのでこれを使うためにエフェクター全体の中低域のバランスを再調整しました。
C10は耳障りな高域をカットしているコンデンサです。値を大きくするとより多く高域が削れます。
D5:1N4148 → 1N4007
C10:0.01UF → 0.022UF
トーンの効き方をシンプルにする
DS-1のトーンスタックはローパスとハイパスが連動しており複雑です。R17を取ってシンプルにしてみました。
トーン12時で好みのバランスになるよう、C11とR15で高域を調整しています。
C11:0.022UF → 0.018UF
R15:2.2K → 3.3K
R17:6.8K → 取り外す(ジャンパーもなし)
バイアス電圧をずらす
TimmyやJan Rayの電源回路を参考にバイアス電圧を4.5vから少しずらしてみました。
使用されている三菱のオペアンプM5223AL(絶版)のデータシートを確認すると、動作電源電圧範囲:VCC=3V~36Vとまあ、電圧はかなり下がっても動作する模様。
下記の定数での理論値は4.9v、私の環境では乾電池での実測で4.6vほどです。CAJの9vアダプターを使うと電源電圧の実測値は8.6v、バイアス電圧は4.4vでした。
電気的には意味があるのか分かりませんが、試してみると音は少し変わります。
少しサチュレーションがかかる印象になります。理屈はよく分かりませんがアナログ感が増すという表現がぴったりかもしれません。
R25:10K → 8.2K
完成!
SD-1よりチューニング幅があって面白いです。
私は自分のテレキャスターとチャンプに合わせてチューニングしましたが、ギタリストや使用環境に合わせてチューニングできるペダルだと思います。
中低域や高域のバランスは抵抗とコンデンサで、歪みの質感はダイオードで、深さはトランジスタとオペアンプの増幅率で調整します。
最近の個体は表面実装になっているので、改造前提の方は入手時に注意してください。
変更箇所まとめ
C3:0.082UF
C8:1UF
C10:0.022UF
C11:0.018UF
R6:68K
R9:1.1K
R13 : 2.4K
R15:3.3K
R17:取り外す(ジャンパーもなし)
R25:8.2K
D5:1N4007
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