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見栄を捨てると物も減る


今にして思えば、若い頃の私は非常に見えっ張りな主婦だったんだと思います。

子どもたちが幼稚園に通っていた頃、私は専業主婦でした。その幼稚園は比較的ママが働いていないパターンが多く、ママのためのサークル活動も盛んに行われていました。

時間にゆとりのあるママ友がたくさんいれば、当然家に招いてお茶会、なんてことが頻繁に行われるわけです。で、中には主婦向けの雑誌が取材に来るような、素敵主婦の代表格的なママもいて、ああ、私もあんなふうになりたいな・・・という憧ればかりが膨らんでいきました。

お茶会のためにカップを揃えて。美味しいお菓子も焼けるようになって。家の中はいつもピカピカ。誰が来ても恥ずかしくない家にしないと・・・。

まあこれが、私の「本当の願望」なら何の問題もなかったのです。私が本当にお客さんを招くのが好きで、お菓子を作るのが好きで、家を心地よく整えるのが好きな主婦ならば。

それから十数年後。わけあって私は家の片付けを始めました。リビング、寝室、キッチン、玄関・・・あらゆるところに手をつけ始めました。

マドレーヌの型やお菓子作りの本などは、同じくらいの年月、一度も手をつけられることがありませんでした。客用のカップも食器棚の中でホコリをかぶり、客用ぶとんに至っては押入れの隅っこでカビだらけになっていました。

それらを一つずつ処分していく中で、私は盛大に悟りました。

「私、自分の空間に、お客様とか別に呼びたくないわ」

主婦はこうあるべきというイメージを、ママ友との付き合いや主婦系雑誌から植え付けられていたために、本来の自分の望みではないことに多大なエネルギーを注いでいたんです。

本来の私は一人でいることが好きで、お客様を呼ぶよりは呼ばれる方が好きで、お菓子は買ってきたほうが楽だし、お客様を泊めるなんてそんな面倒なこと絶対したくない。自分がそういう、「素敵な奥様」とはかけ離れたタイプであることを、片付けを通してようやく認めることができたのです。

見栄から解放され、本来の望みに忠実になってからは、変なプレッシャーからも解放されてとても楽になりました。でもそうやって自由になってみると、逆に人を招きたくてウズウズしてくるんですよね・・・この天の邪鬼!(笑)。だって今は、あの頃よりずっと家がきれいなんだもん。

ちなみに当時抱えていた10冊以上のお菓子作り関係の本は、今は一冊も残っていません。ほとんど使わないまま手放してしまいました。いいんですよ、今の世の中、ネットで何でも検索できますから。

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