明日郎
明日郎の短歌です。
文庫版『コンビニ人間』の帯に、「村田沙耶香の最高傑作」との宣伝文句があった。俺は、それは村田沙耶香に失礼ではないかと思った。
今朝いつものように駅のホームへの階段を上ると、その途中、布きれのようなものが落ちていて、危うく踏みそうになった。布きれは怯えたようにちょっと動いた。風もない階段で、一人でに動くなんておかしいから、近づいて見てみると、それは大きめの、青白い蛾だった。私はかつて小さい緑地の隣に住んでいて、都会に比べてほどほどに豊かな自然環境から、そこの近くではたぬきやウズラを見かけたことだってあるのだが、その時見たほど大きい蛾にはこれまで遭遇したことがなかった。人間は思っている標準の大きさを超
計画していたことではあるが、今年のお盆は大したことをしていない。お盆の翌週に有給を一日だけとって、旅行に行くことにしたので、去るお盆には遠出をしなかったのである。日曜日の昨晩、お盆に何も為さなかったという確かな実感が、私を苦しめた。苦しみながら、同時に、何かを為したという実感は得たことがないのに、為さなかったという実感は切実なリアリティをもって私へ迫ってくることの面白さを思った。昨晩はそんな考え事をしながら、ゲームという手軽な現実逃避の末二時間夜更かしをして眠った。 翌
あとがき カジュアルな感じで書き始めたが、後半は評論文みたいになった。 一人暮らしを始めて、半年になる。引っ越した日は、冬の真っ只中であったが、例になく暖かい日だったことを思い出す。狭い家へ移り住むので、雨に降られることばかりが心配だった。搬入に手間取りそうだし、荷物も濡れて部屋に入ってきたら嫌だったからだ。しかし当日は先述の通り晴れたので、親の手伝いもあり、引っ越しはつつがなく終わった。 それからの生活はここで詳しくは書かないーー必死に暮らしており感情のさしはさまる余
日没がせまる。 私はマンションの広大な敷地の中を 自宅を目指して歩いている。 18時43分、 ふいに、私の頭は照らされる。 灯りがついたのだ、と脳が遅れて認識したとき、 私を取り囲む全ての光が、 いっせいに、ではなく まばらに灯っていった。 光は何よりも速い。しかし、 広大な敷地の全てに光が行き届くのには、 光速ではならないらしい。 光に取り囲まれて、 ふと、私は言葉にも取り囲まれていると思った。 気がつけば言葉を仕事にし、 暮らしの中で言葉の仕
お久しぶりです。 震災から十二年ということで、歌いました。
大学生の頃、落語をちょっとやってた時期があって、2回くらい高座に上がったことがある。話術ひとつで笑いを取るなんて、かっこいい。そう思って入部したんだけど、練習の多くはYouTubeの動画を見て、噺と話し方を覚えるって感じだったから、ああこれなら別に所属してなくてもやれる、と思って数ヶ月でやめてしまった。今思えば、つくづく軽薄な男である。こんなやつに落語の極意などわかってたまるか。 実はやめた理由はもう一つある。緊張に弱かったのだ。 その身ひとつで笑いを取るのは確かにか
ラーメンズのコントに、「科学の子」というのがある。 そこで、子供の「宇宙人はいるのか」という質問に対して、 「3本の木からかぶとむしを探すのはどうか? 30本なら? 300本なら? ひとつだけ言えるのは、宇宙には星が、3000…00(詳しい数字は忘れました)個あるってことです」 的な返答をする場面がある(リンクを貼っておくので詳しいセリフはみて確認してほしい)。これが何かの引用なのか、それはわからないが、僕はなんて素敵な希望の持たせ方なんだろうと思った。 今回話す考
ばあちゃんが死んでしまった。それで思うことが色々あった。こんな時にnoteなんて書かないでいい、それは僕も同感である。それは、人の死を、ただ文学的感傷の内に収めてしまうような感があるからだ。しかし僕はこんな時、筆が乗る。短歌が詠める。 この場において、さっき言ったような外聞を気にしてなにもしないのは、創作を多少なりとも齧るものとして如何なものだろうかと思い、書くのである。 もちろん悲しい。もういないと考えると、居ても立っても居られない気持ちだ。それなのに冷静な自分がいて、
ー〈僕〉が、自由に綴るやつをやってみたかった。ー とあるツテでピアノのコンサートに行ってきた。しかし僕はピアノをはじめとして、クラシック音楽の知識が何もない。コンサートなのか、コンクールなのか、リサイタルなのか、何が正しいんだかもわからないんだけど、とにかく行ってきた。この記事ではコンサート、と呼ぶことにする。 僕は昔から好奇心旺盛だし、機会さえあればこのように知らない世界でもホイホイ飛び込んでいく。あ、でもシャイではあるからほんとうにいい機会に恵まれた時だけ、なんだ
6月の頭に表題の食中毒をやりました。今回はその説明と、短歌です。 人生で初めての食中毒で、端的に言って最悪でした。 カンピロバクターは潜伏期間が5日前後あるらしく、僕の場合、焼き鳥屋に行って3日後に症状が出ました。 昼から軟便が出始め、夜には熱が出て寒気がして、また軟便が出て、その後ずっと2時間おきくらいで軟便が出て、お尻が痛くなってもなお、軟便が出ました。詳細は伏せますが、カンピロパンツは捨てました。 熱は最高で38.8度出ました。数年ぶり、ともすれば10
道路をゆく車の流れに目をやっていると、時々スジャータの車が走っているのを見かけますね。 僕はこの前、「ターャジス」の車を見かけました。トラックとか船とか、屋号が逆読みでプリントされていることがあると思いますが、それにあたります。 ところで、このターャジス車はもう造られていないようです。どんどんスジャータ車が増えているとか。 それで、モクモク想像が膨らんで、詠いました。 久しぶりの更新ですが、ずっと元気でした。 嘘でした。6月の初めに食中毒になりました。それ
✳︎ こんにちは、みなさん。元気でしたか。 こちらは普通です。noteは久しぶりの更新です。下書きは書いていたりするのですが、投稿する勢いを失ってしまって、これだけ間隔があいてしまいました。 短歌創作も、毎日アイデアが浮かぶわけでもないので、やはり定期的な更新が難しいのです。 ところで、自分の歌を自分で解説するのは、野暮な気がしなくもないです。この自作自演を、皆さんはどう思ってるんでしょうか。ふと気になりました。 気恥ずかしくなる前に、さっさと本題に行きましょう。
1 こんにちは、お久しぶりです。元気です。 おかげさまで三月から仕事をしています。note更新したいな〜と思いつつ、できてませんでした。忙しかった……訳ではありません。温存してた、という言い方がしっくりきます。 近況としては、4月から会社通いが始まりました。季節柄もあり、平日毎日外に出られて、心地よいです。 オフィスの人々もいい方ばかりです。あったかいオフィスで、ゆっくり成長できればいいと思います。こういう考えなので、求人でよく見る、「圧倒的な成長」とか、「裁量の
1 二ヶ月にわたる転職活動の結果、フリーの校閲者になることにしました。フリーとはいっても、それは雇用形態上そういうことになっているということです。会社の人間ではあるらしいので、仕事は毎日あるそうです。社会保険に自分で入らなくてはならないのが難点ですが、割り切りました。校閲という仕事に、正社員というのはなかなか少ないようです。ひとまず経験を積んで、今後のことは考えます。 今回は今日あった面談(諸説明)の内容をざっくり書いてみます。 2 僕は未経験で校閲を始める身なの
始め どうも。みなさん、お元気ですか。 僕は元気です。相変わらず、転職先が決まりません。でも自分に自信はあるので、いいのです。きっとそのうち見つかります。 家にいる日が続いて、短歌を作れていませんでした。これではいけないと外に出ると、やはり発見はあるもので、いくつか歌ができたので記事にします。 平面のすべてがマウスパッドなりワイヤレスマウスを開通すれば 明日郎 前置きとは違って申し訳ないが、これは家の中で作った歌である。 この前、自分のパソコンを久しぶり