キトラ古墳「天文図」見学記
今日(2021年11月2日)、キトラ古墳壁画保存管理施設(キトラ古墳壁画体験館 四神の館 1階)へ第21回公開 開館5周年記念 国宝キトラ古墳壁画を見に行きました。今回、公開されたのは西壁の白虎と天井の天文図で、後者が最大の目的であることは言うまでもありません(笑)キトラ古墳とは何ぞや、ということはここでは割愛しますが、古墳石室天井に天文図が描かれているのは、すぐ近くにある高松塚古墳とキトラ古墳のみ。しかも高松塚の方は星宿図なので二十八宿+αしか描かれていません。中国式の星座(星官)が描かれているものとしてはキトラ古墳が国内唯一で、かつその天文図は世界最古なのです。これは、天文屋さんとしては見に行かなければなりません(笑)
実は、私がキトラ古墳の壁画を見るのは、これが初めてではありません。2014年に東京国立博物館で壁画の一部が展示されたことがあり、明日香村外で壁画が公開されるとのことで喜び勇んで見に行った記憶があります。が、このときは天文図は公開されなかったのです。
公開施設内は撮影禁止なので写真はもちろんありません。まず思っていた以上の小ささ、そして薄さに驚きました。いや、これまでに何回も石室の実物大模型を見てきましたし、何なら壁画を見る直前にも四神の館の展示室で見ていたのですが、改めて実物を見ると、その欠落具合もあって、より小さく感じました。そして漆喰の層の薄さと言ったら!これを剝がすのは相当な労力と技術が必要だったことは想像に難くありません。ガラスケース越しなのに、吹いたら飛んでいきそうで、思わず息を止めてしまいました(笑)
写真などで見るのと違い、ケース越しで距離があることもあって、どれがどの星、というのがなかなかわかりません(あ、なので双眼鏡や単眼鏡を持っていくと見やすいですよ)。そんな中で異様に目立って見えたのが北落師門…南のうお座のフォーマルハウトです。実際のフォーマルハウトは21ある1等星の中でも暗い方から数えたほうが早い星ですが、キトラ古墳の天文図では一番大きな丸金箔があてがわれています(天文図は星が金箔で表現されています)。一方で、全天一の輝星シリウスは全然めだたないんですよね。どんな意図があったのか…気になります。
とにかく、百聞は一見に如かずで、あの凄さは目の前で見ないとわかりません。今回の公開は11月14日(日)までなのですが、二次募集を行っていて、定員に達していない日は未だ見学申し込みが可能です。また、今後も定期的に公開されるでしょう。ぜひ一度、実物を見に行って欲しいなと思います。